飛翔

日々の随想です

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

読書子の琴線に触れるカバー

文庫本を買うと、本屋がカバーをおかけしますか?と尋ねる。 断ったり応じたり。 カバーの素晴らしいものを発見。 それは長野県長野市にある長谷川書店のそれである。 カバーの図は流れるような草書体の漢詩が配されている。 その漢詩がまったくにくい!!!…

J・D・サリンジャー(J.D. Salinger)逝く

代表作『ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)』で知られる、謎に包まれた伝説的作家J・D・サリンジャー(J.D. Salinger)氏が1月27日、米東部ニューハンプシャー州の自宅で、老衰のため91歳で亡くなった。 『ライ麦畑でつかまえて』は現在も年間…

国技って何?

国技って何? 相撲を国技と呼びながら今や横綱は外国人力士ばかり。 外国へ行って力士をスカウトしてくる時代。 国技って外国から輸入するものだったなんて知らなかった!! 大麻をやって逮捕された外国人力士が現れるなんて前代未聞と思っていた矢先、同じ…

水仙

庭の水仙の花が咲いてその気品のある香りがあたりをすがやかにしている。・水仙の花のみだれや藪屋しき (維然)荒れ果てた薮(やぶ)。そこに一群の水仙が群落を作っている。ここはその昔誰かの屋敷跡で、この水仙花はその主人が楽しんだ花なのだろう。上の…

野呂邦暢の初のエッセイ

王国そして地図 (1977年)作者:野呂 邦暢集英社Amazon かつての古本の釣果は『王国そして地図』野呂邦暢(集英社)。 美本、帯付きである。 野呂の初めてのエッセイ集である。 野呂のペンネームが梅崎春生の小説からとったものだと明かす。 『諫早菖蒲日記』…

]文士のたたずまい

文士のたたずまい 私の文藝手帖作者: 豊田健次出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2007/11/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見る野呂邦暢の才能を愛した文人は多い。 向田邦子もそのうちの一人だ…

梅が香

いつも散歩に出かける公園には早くも紅梅が咲き始めた。 梅は桜のようにはなやかではない。けれどその気品に満ちた風情と馥郁(ふくいく)とした香りがあたりを静謐にする。 梅といえば江戸の俳人宝井其角の句にこんなのがある。 ・梅が香や隣は荻生惣右衛門…

君に書かずにはいられない

君に書かずにはいられない―ひとりの女性に届いた四〇〇通の恋文作者: 中丸美繪出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/12メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見る誰も生涯で一度は恋文を書いたことがあるだろう。 あるいは生涯を決す…

随筆に憩う

今日は朝からぽかぽか陽気。 洗濯物と布団がお日様に干されて庭は満艦飾。 南に面した居間にいると紫外線で日焼けしそう。汗ばむほどの日差しの強さだ。 その反対に食堂は日が当たらないので寒い。昼食は居間に移動して「暑い、暑い」を連発しながら食べた。…

愛と音楽の軌跡

光と風のなかで―愛と音楽の軌跡作者:遠山 慶子彌生書房Amazon ピアニスト遠山慶子さんの演奏を聴いたことがありますか? その演奏は柔らかでしなやかな音の深みに魅了されてしまう。 遠山さんのその生涯と生き方、誰もが経験したくともできないようなその恵…

吉田健一

先日書評を書いた『神保町「二階世界」巡り』の著者、坂崎重盛氏の解説がついた吉田健一著『酒肴酒』(光文社文庫)が出版された。酒肴酒 (光文社文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/02/09メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 34回この…

東京地検特捜部と足利事件と『悪人』

栃木県足利市で1990年、四歳の女児が殺害された足利事件で無期懲役が確定し、その後釈放された菅谷利和さんの再審第四回公判が21日にあった。 取調べの仕方は今まで公開されなかったが当時のテープが公開された。 東京地検特捜部と小沢一郎が巌流島の対決の…

「とはずがたり (古典の旅)]

とはずがたり (古典の旅9)作者: 富岡多恵子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 1938年、国文学者の山岸徳平は皇室の図書を保管している宮内省図書寮(ずしりょう)で、「とはずがたり」をみつけた。 …

小鳥は雲の弟

パンくずを庭に撒いているのでいろいろな鳥が集まってくる。 侘び助椿にはめじろのつがいが蜜を吸いに飛んできて可愛い。 ざくろの実がはじけたまま一個だけ残っている。そこにはむくどりがついばみにくるのだけれど、これがとても愉快。細い枝の先に乗って…

神保町「二階世界」巡り及ビ其ノ他作者: 坂崎重盛出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 54回この商品を含むブログ (16件) を見る 著者はまえがきで本書を「自分の愛する世界」を書きとめたものだとしている。その…

情けあらば伝へてよ

今日はやっと一つ仕事が一段落したので精神的にほっと一息ついている。 シャンパンを安く売っていたので買おうかどうしようかずいぶん迷って結局買わなかった。夫が夕食時に仕事が一段落したお祝いに買えばよかったのにといわれてがっかり。ワインをあけて大…

幸田文のマッチ箱

幸田文のマッチ箱作者:村松 友視発売日: 2005/07/21メディア: 単行本 装丁の美しさに惹かれる。遠目には着物柄のように見える。 しかし、それは黒地に色とりどりのマッチ棒だった。奥付を見ると「竹久夢二筆 マッチ」とあった。 本書を小口から見ると黒地の…

戦争絶滅へ、人間復活へ

93歳、現役ジャーナリストの発言である。 戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書)作者: むのたけじ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/07/18メディア: 新書購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (21件) を見る 敗戦の…

読書人の園遊

今日の古本の釣果は二冊。『読書人の園遊』谷沢永一著(桜楓社)と『遊び時間』丸谷才一著(中公文庫)だ。読書人の園遊 (1978年)Amazon遊び時間 (中公文庫 A 103-3)作者:丸谷 才一中央公論新社Amazon稀代の書物狂であり、読書人である両者。書物への愉悦に…

きっと桜は咲く

今日はセンター試験の日。 受験生諸君!健闘を祈ります!きっと桜は咲く! 受験生を持つ親御さん、ご一緒に健闘を祈りましょう!エイエイオー!!!

文学と悪

文学と悪 (ちくま学芸文庫)作者:ジョルジュ バタイユ発売日: 1998/04/01メディア: 文庫 バタイユは文学にとって至高のものとは・・という観点においてそれは悪の極限を掘り当てようとすることではないかと論じている。エミリ・ブロンテ、ボードレール、 ミシ…

煙草のけむり

私はタバコはたしなまない。 しかし二十二年間タバコの煙をすってきた。 それはヘビースモーカー、いえ、チェーンスモーカーだった父のそばにいたからだ。子どものころ東京は渋谷に住んでいた。八畳の居間の天井は「船底天井」と呼ばれる粋なものだった。そ…

茶話(薄田泣菫)

有名な薄田泣菫の『茶話』(冨山房百科文庫)の紹介である。完本 茶話 (上) 冨山房百科文庫 (37)作者: 薄田泣菫,谷沢永一,浦西和彦出版社/メーカー: 冨山房発売日: 1983/11/25メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る 国内外の取って…

アガサ・クリスティーの別の顔

今日1月12日はアガサ・クリスティーの誕生日。そして今年は生誕120年の年でもある。 そこでアガサ・クリスティーの知られざる顔、作品を紹介したいと思う。Absent in the Spring and Other Novels: A Mary Westmacott Omnibus作者: Mary Westmacott,Agatha …

一個の人間

今日は成人の日。成人の日にこんな詩を: 一個の人間(武者小路実篤) 自分は一個の人間でありたい。 誰にも利用されない 誰にも頭をさげない 一個の人間でありたい。 他人を利用したり 他人をいびつにしたりしない そのかわり自分もいびつにされない 一個の…

君以外だれも容れずにぴんと鳴る

意識したわけではないけれど夫と歩くときは夫の右側を歩く。それは初めてのデートの日から今までずっと変わらない。 どこへ行くのでも一緒のことが多いのでたまにいないと左側が寒いのに気がつく。つまり左側にいつもいるべき人がいないと何か忘れ物でもした…

野呂邦暢著『古い革張椅子』から

古い革張椅子 (1979年)作者:野呂 邦暢集英社Amazon そして野呂邦暢の随筆『古い革張椅子』(集英社)。 野呂邦暢のエッセイは淡々と無駄のない言葉が紡がれていて水彩画のような趣がある。飄々とした書き味はモノクロームな映像を見るようだ。 「書出し」と…

向田邦子に学ぶ

向田邦子全集(3)作者: 向田邦子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1987/08/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 「文は人なり」と言う。 文を書くということは、書き手の思考や思想、ひいては人柄までにじみでてくる。 しかし、論文や公に…

文学はおいしい

久保田万太郎、白洲次郎、吉田健一、池波正太郎らが通ったそば処「よし田」で蕎麦を食べる。背中のリュックには古書店をはしごした釣果がずっしり。夜になれば 池波正太郎の『鬼平犯科帳』をもとに料理を作り、藤沢周平の作品に出てくる銘酒「九平次」を呑む…

ノーベル賞作家の「読む・書く」

Dog on It: A Chet and Bernie Mystery作者:Quinn, SpencerAtria BooksAmazon 今年読む本は『Dog On It』Spencer Quinn 著。 今年の読書目標は洋書を読むことにある。 その始めにこの本を読むことに決めたのだ。 高校時代からの親友S子はプロの翻訳家として…