飛翔

日々の随想です

2016-01-01から1年間の記事一覧

もう鬼は笑わない

このブログにはしばらくご無沙汰だった。 訪れる人がいないので、つまらなくなった。 やはり反応がある方が、書き手にとっては張り合いがあるというもの。 もう2016年も、あと2日もすれば来年がやってくる。 来年のことを話しても、もう鬼は笑わない。 …

うずら豆

私は料理ブログを読むのが好きだ。 もちろんレシピを参考にするのだけれど、私が好きなブログ主は何回も納得いくまで作って、それをレシピ公開している。 丁寧に神経を行き渡らせて作る料理に添えられた言葉は、母の台所を思わせるものに満ちている。 だから…

今を生きる

東京から地方のひなびた町に嫁いで久しい。 田舎暮らしが嫌でずいぶん泣いた。 それがどうだろう、いまでは、もう東京には住みたくない。 稲穂の金色が揺れ、ジャガイモ畑で汗を流す農夫の姿がまぶしく、牧場の乳牛がのどかに鳴くのを聞くとき、この地がいと…

『スノーグース』

表題にある「スノーグース」を含めた3篇(「スノーグース」「小さな奇蹟」「ルドミーラ」)を収めたギャリコの珠玉の作品。 「スノーグース」は第二次大戦が勃発した時代、ドイツ軍の猛進撃によって「ダンケルクの悲劇」が起こった陰のエピソードを踏まえた…

さすらいのジェニー

さすらいのジェニーポール・ギャリコ大和書房 事故で意識を失った少年ピーターは気が付くと猫になった。 そんなノラ猫になったピーターは、町で負傷した身を一匹のメス猫に助けられる。 それがジェニーだ。ほっそりとしためすの虎猫で、顔とのどに一部分白い…

ブログは誰のもの?

私がいつもブログで書くときは「〜だ。〜だと思う」にしている。 「ですます」調ではない。 「〜です。〜ます」 と書くと私でないような気がして居心地が悪い。 そのせいだろうか、コメントがまったくない。 ある人が「語調が強いので、他の人はひいてしまう…

紅い花 他四篇 (岩波文庫)

紅い花 他四篇 (岩波文庫)ガルシン岩波書店 薄い本の中に5編の短編が編まれた本書は著者ガルシンの全世界がある。 それは道徳心、良心、信念のありかを伝えたものだ。 「あかい花」「四日間」「信号」「夢物語」「アッタレーア・プリンケプス」の5編。 「信…

「とと姉ちゃん」と文明の利器と日本文化の衰退

今朝の「とと姉ちゃん」を観ていてしみじみ思ったのは文明の利器は文化や風物を変えるということだ。 平塚雷鳥の家に原稿依頼に行くまりこ。 その部屋のしつらいの素敵なこと! 部屋の欄間(らんま)の意匠(デザイン)が欄間職人のわざの冴えが見えるものだ…

「今を戦前にさせない」被爆地の声を伝え続ける地元メディアの矜持!

広島での原爆投下から71年となる6日。 同県内で配られた朝刊のテレビ番組表(ラテ欄)には、地元の中国放送(RCC)がナイター中継する、プロ野球・広島カープの対巨人戦の放送内容が載っています。 広島にとって特別なこの日、「縦読み」に仕込まれた…

女二人のニューギニア

女二人のニューギニア (朝日文庫)作者: 有吉佐和子出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1985/07メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 蒸し暑いこの季節、おもいっきり笑いとばせる本で暑気払いをしよう。 今は亡き有吉佐…

相模原の障害者施設殺傷 事件と『二日月』(ふつかづき)

相模原の障害者施設殺傷 事件が起きた。 「障害者は生きていても意味がない」と植松聖容疑者は話したという。 生きる意味のない人などいない。 その当たり前のことを26歳の容疑者が理解できないことに言葉を失う。 このことについて家庭で、職場で、個々人…

相模原の障害者施設殺傷 事件

「視点(相模原の障害者施設殺傷 事件)」 世の多くの人たちは、「弱者」とは障がいや病気を持っている人、子供や老人・・・などと、自分たちではなく特別な人たち、だと思わされているようです。 しかし、そうではありません。 地球上、わたしたち人間は、…

『少年少女のための文学全集があったころ』

少年少女のための文学全集があったころ作者:由利子, 松村発売日: 2016/07/26メディア: 単行本 子供時代に読んだ本は懐かしく、本の手触りまで覚えている。 そんな懐かしくも愛おしい子どもの頃読んだ本についてのエッセイが本書である。 ページを開くと、懐…

「昭和の日」にちなんで

今日は「昭和の日」とか。 私にとっては「天皇誕生日」のほうがなじんでいる。 つまり私は「昭和の人」である。 「昭和の日」にちなんで私が過ごした「昭和のお正月」風景を紹介したいと思う。 子供のころ、お正月は、こないほうがよいと思うほど家中が忙し…

人生

自分の人生を振り返るようになるとは想像もしなかった。 天変地異が起きて、たった今まで普通に暮らしていたのに、家族と永遠の別れが待っているなど誰が想像できようか。 そう考えると、たった今を大切にという意味が切実さを帯びてくる。 嘆くことが多かっ…

春宵一刻値千金、花に清香月に影

今夜は夫の友人ご夫妻とイタリアンレストランで夕食会がある。 同じ市内に住む友人ご夫妻は奥様は日本画の趣味があり、ご主人はオペラ、文学・日本史に造詣が深い。 友人と言っても、文学やオペラについて語り合える人は少ないので、双方にとって得難い友で…

小中高生の力。

昨日の土砂降りがやみ、からりと晴れて夏日となった。 陽が燦々と射すと気分も上向く。 震災の被災地では土砂に埋もれた家屋や行方不明者の捜索が続けられている。 被災した高校生が立ち上がって、救援物資の分配や炊き出しを積極的にしている様子が映し出さ…

災害時のツナ缶ランプ

こちらは警視庁も太鼓判を押すというライフハック「ツナ缶ランプ」。災害時などには覚えておいて損はないですね。燃えなくなった後食べられるというのもポイントです。

いざという時を考えよう

今日は終日雨だった。 親しい友人からメールが来た。 それには母上の死とご主人と別居。 離婚係争中というショッキングな報告が記されていた。 50代の夫婦。大学3年生の長男と高校1年生の二男。 持家に住み、何不自由なかったこの一家がご主人の借金とそれが…

減災

熊本を中心に大きな地震が起きた。原発がいくつもある九州は、地震の巣でもある。いえ、九州だけでなく、日本列島は地震の巣でできている火山国だ。福島原発がまだ終息を見ず、海に放射能汚染水を垂れ流している状態なのに、どんどん原発を再稼働し、原発事…

棟梁

西岡常一(にしおか・つねかず)棟梁。法隆寺の棟梁で、最後の宮大工棟梁と呼ばれる名棟梁。 職人といわれる人はどれぐらいいるのだろうか? 子供の頃住んでいた渋谷の家は,名人棟梁と言われた人が建てた。 棟梁は住み込みをいれて数十人の職人をかかえる大…

雨宿り男と女

男と女がある日雨宿りがきっかけで言葉を交わす。 女は目にも妖しき色香漂う遊女の風情。男はというと男前の僧。 「遊女」の宿へ雨宿りを乞うた「僧」の物語。 さてどんな物語かというとこれはお能の中の一つ。「江口」という演目。 女は遊女「江口の君」。…

慎ましきもの

慎ましいものは地味で控えめであるけれど、奥ゆかしい美がかくれているものだ。 母はそんな慎ましい人だった。いつも大島紬の着物を着ていた。地味な大島の美しさは子供の私には分からなかった。他のお母さんのように華やかな服を着て花のようでいてほしかっ…

父と娘

がんらい、なまけものの私は学生時代は勉強もせず、試験のときは山をかける専門だった。 勉強していないので山がはずれたら悲惨だ。 勉強は自分の部屋でしないで居間の炬燵でするのが常だった。 炬燵のここちよさは、私から勉強の意欲を奪うばかりか、眠りの…

決して失われないもの

小学校の高学年になった頃のことだった。 私は大怪我をおって家に帰ってきたことがあった。母はいきなり私を抱いて胸をはだけて乳をふくませた。 母の膝からはみ出るほど大きななりをして、私は泣きながら母のおっぱいを吸った。 大きな私になぜそんなことを…

お布巾の怪

箸置きと銀の食器

高校・大学を通して同じ学び舎だったS子とはいまだにメールで切磋琢磨しあっている。一人でこつこつ勉強しているとくじけそうになるが、友もがんばっていると思うと励みになる。 友といえば、作家の北壮夫と辻邦生とは親友関係である。高校からの書簡のやり…

報道用ヘリを飛ばすな!

21年前、関西のテレビ局の読売テレビ(日テレ系)で震災6日後に収録された。 この中で上岡龍太郎氏がマスコミに対して極めて重大な証言をしている。それは上岡龍太郎氏のご子息が発災直後に被災地に向かわれて、実際に体験した話に基づく。 上岡龍太郎氏…

おみやげ三つ

「ただいま〜ぁ」 玄関に父の声がしたとたん、姉二人と私はわれ先に玄関に走る。 「おかえりなさ〜い」 三姉妹の声がそろってお出迎え。 「おかえりなさいませ」 母の優しい声が父を迎える。 姉二人は父の手からお土産の寿司の折詰を奪うようにとって居間へ…

蔵書印

小学四年生のある日、それは起きた。 名づけの由来を調べる宿題がでた。母に、 「百合子という名前は、誰が、どんな理由で名づけたの」 と尋ねた。母は、 「それはお父さんが、昔から百合の花が好きだったからよ」 と答えた。すると、そばにいた十三歳年上の…