飛翔

日々の随想です

2016-04-18から1日間の記事一覧

棟梁

西岡常一(にしおか・つねかず)棟梁。法隆寺の棟梁で、最後の宮大工棟梁と呼ばれる名棟梁。 職人といわれる人はどれぐらいいるのだろうか? 子供の頃住んでいた渋谷の家は,名人棟梁と言われた人が建てた。 棟梁は住み込みをいれて数十人の職人をかかえる大…

雨宿り男と女

男と女がある日雨宿りがきっかけで言葉を交わす。 女は目にも妖しき色香漂う遊女の風情。男はというと男前の僧。 「遊女」の宿へ雨宿りを乞うた「僧」の物語。 さてどんな物語かというとこれはお能の中の一つ。「江口」という演目。 女は遊女「江口の君」。…

慎ましきもの

慎ましいものは地味で控えめであるけれど、奥ゆかしい美がかくれているものだ。 母はそんな慎ましい人だった。いつも大島紬の着物を着ていた。地味な大島の美しさは子供の私には分からなかった。他のお母さんのように華やかな服を着て花のようでいてほしかっ…

父と娘

がんらい、なまけものの私は学生時代は勉強もせず、試験のときは山をかける専門だった。 勉強していないので山がはずれたら悲惨だ。 勉強は自分の部屋でしないで居間の炬燵でするのが常だった。 炬燵のここちよさは、私から勉強の意欲を奪うばかりか、眠りの…

決して失われないもの

小学校の高学年になった頃のことだった。 私は大怪我をおって家に帰ってきたことがあった。母はいきなり私を抱いて胸をはだけて乳をふくませた。 母の膝からはみ出るほど大きななりをして、私は泣きながら母のおっぱいを吸った。 大きな私になぜそんなことを…

お布巾の怪

箸置きと銀の食器

高校・大学を通して同じ学び舎だったS子とはいまだにメールで切磋琢磨しあっている。一人でこつこつ勉強しているとくじけそうになるが、友もがんばっていると思うと励みになる。 友といえば、作家の北壮夫と辻邦生とは親友関係である。高校からの書簡のやり…