飛翔

日々の随想です

2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年大つごもりのご挨拶

2010年の大つごもりの今日、初雪が舞った。 今年一年を振りかえると、新政権になり景気も上向き、雇用も良くなるかと国民のほとんどが期待した。しかし、ふたを開けてみると、鳩山さんが空約束の大見得を切って沖縄県民を愚弄し、期待を裏切り、アメリカから…

「侘びすけ」と「じょうびたき ( 尉鶲 )」

庭の「侘びすけ」に目白が飛んできて花の蜜を吸う。可憐な花が次々に落とされていく。目白はかならずつがいでやってくる。風もないのに白い花弁が揺れているときは、かならず幹の後ろに目白がとまって花を物色している。今日はその「侘びすけ」に珍しい客が…

2010年を振り返って(私が選ぶ五冊)

今日はみぞれ交じりの雨が降る寒い日だった。 いよいよ余すところあと一日。お正月をふるさとで過ごそうと帰省される方、海外で過ごそうと日本脱出の方、みんなそれぞれのお正月を楽しみに、2010年を終えようとしている。 我が家は大掃除もすみ、おせち料理…

くず湯

世の中には老父母の介護生活をなさっている方が多い。 私も新幹線の回数券を買って東京まで介護していた数年があった。費用も莫大で仕事をしながらの生活。金曜日の午後東京へ、月曜日には帰宅。帰宅するとすぐに仕事が夜9時まであった。新幹線に乗っている…

老いと介護

寒い年の暮れとなった。元日は当地でも雪になるという予報がでた。寒風吹きすさぶ頃になると思い出す。あの日のことを。 凍えそうに寒い日、畑の真ん中にスコップで穴を掘った。そこにひとかかえもある石油缶を埋めるためだ。そばには義父が立っている。頭脳…

つぶやきの功罪

近くのクリニックは今日が最終診療日。年末の挨拶かたがた、健康診断の結果を聞きに出かけた。血圧、血糖値、コレステロール値、その他すべてが正常値ということで、安心して年を越せそうだ。インフルエンザのワクチンも接種したし、原稿もすべて出したし、…

ブラウニー

クリスマスも終わったのに、またケーキを焼いた。 今年最後のケーキは「ブラウニー」だ。 「ブラウニー」は私のお得意のお菓子。二台焼いたので一つはブラジル人一家に届けた

窓前に古書を看(み)、燈火に書義を尋ねよ

文庫本を買うと、本屋がカバーをおかけしますか?と尋ねる。 断ったり応じたり。 カバーの素晴らしいものを発見。 それは長野県長野市にある長谷川書店のそれである。 カバーの図は流れるような草書体の漢詩が配されている。 その漢詩がまったくにくい!!!…

おせち料理今昔

スーパーの店頭はクリスマスとお正月が一挙にやってきた風情だ。 クリスマスケーキの売れ残りを出すまいと声をからして売る店員。その隣で田作りや数の子を売っており、しめ飾りがもう山のように積まれている。 ズワイガニのあんよが二三本で2400円なり。お…

メリー・クリスマス!

最近、日本語を外国人に教えている。英語で日本語を説明するというややっこしいことをしているので、久しぶりに、英語で夢を見た。驚いたことにテレビでいまや有名になった、京都に住む英国人女性、ベニシアさんが、夢の中に登場してびっくり。ベニシアさん…

冬至

今日は冬至。一年で一番昼が短い日だ。 ゆず湯につかって健康を祈り、かぼちゃを食べて脳卒中にならぬようにする。 何が贅沢かといえば、庭になっている柚子のみを山のようにとってきて、湯船に浮かべることだ。 柚子の香りで満ちているお風呂に入っていると…

75セントのブルース

黒人詩人Langston Hughes (ラングストン・ヒューズ)はこんな詩を詠っている 「75セントのブルース」 どっかへ 走っていく 汽車の 七十五セント ぶんの 切符を くだせい ね どっかへ 走っていく 汽車の 七十五セント ぶんの 切符を くだせい ってんだ どこへ…

くらし

空をかついで作者: 石垣りん出版社/メーカー: 童話屋発売日: 1997/01/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 詩人石垣りんさんの訃報を知ったのは六年前の師走のことだった。 その詩は甘ったるい形容詞など無用。 生活に根ざした…

打ちのめされるようなすごい本

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)作者: 米原万里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/05/08メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 145回この商品を含むブログ (59件) を見る 米原万理さんの絶筆となった闘病記を収録した最初で最後の書評集。 新聞…

小さな巨人

WOWOWではフランス人のジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニ のライブを見た。ミシェル・ペトルチアーニ(1962〜1999) はイタリア系フランス人。遺伝的原因から、生まれつき骨形成不全症という障害を背負っていた。この障害のため、彼の身長は成長期に…

打たれ強く生きる

打たれ強く生きる (新潮文庫)作者: 城山三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1989/05/29メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 16回この商品を含むブログ (21件) を見る 百年に一度の大不況と云う言葉がどんどん歩き出し、加速度を増してきた昨今。働けど働けど…

クリスマスの贈り物

クリスマスがもうじきやってきます。 家族や愛する人に贈り物をします。 子供の頃は本やお人形がクリスマスプレゼントでした。 大学生になってボーイフレンドができ、初めてのクリスマスにもらったのが彼の手作りのクリスマスカードでした。 自分で描いた絵…

林哲夫さん絵画展

ジェイアール名古屋高島屋10階美術画廊で「ストーリーテラーズ 小説と絵画展」が開催されている。今日は最終日。憧れの人林哲夫さんの絵がお目当て。この絵画展は小説をベースに、著名、実力派、新進気鋭の若手など多数の作家によって描かれた新作絵画を展示…

神吉拓郎『私生活』

私生活 (文春文庫 372-3)作者:神吉 拓郎文藝春秋Amazon 我が家はいたって普通の家庭である。 隣近所、友人もごく普通の人たちばかり。 変わったことなど起こりようがないと思うほどだ。 しかし、長い人生の一こまをとってみると、夫婦の会話に微妙なものが生…

初雪

初雪うつくしく ふれる初雪 ことの葉の 跡つけつくる やすらはれけり (『橘曙覧全歌集』 (岩波文庫)より) 初雪の美しさは何とたとえたらよいだろう。 まだ誰にも踏みしだられていない初雪。その初雪の美しさを言葉や歌で言い表すことさえためらわれる。 美…

向井敏と百目鬼恭三郎と井上ひさし『四十一番の少年』

今は亡き向井敏は書評と言うジャンルを小説や他の文芸作品と並ぶ位置にした書評家であり、評論家であった。今では素人からプロまでさまざまな人が書評を書くようになった。書評家というとかつては<狐の書評>という覆面の書評家がいた。後年その素顔を明か…

雪と笠と言葉

北海道はもう雪が降っているとか。 中国の詩人玉屑(ぎょくせつ)の詩の一節に「笠重呉天雪 鞋香楚地花」(笠ハ重シ呉天ノ雪 鞋ハ香シ楚地ノ花)=(かさはおもしごてんのゆき くつはかんばしそちのはな)というのがある。 「呉天」とは「呉国の空」で、「(都か…

「天地有情」

声高らかに朗詠したくなる詩がある。 ここにその一つをあげてみよう。 星と花 同じ「自然」のおん母の 御手にそだちし姉と妹(いも) み空の花を星といひ わが世の星を花といふ。かれとこれとに隔たれど にほひは同じ星と花 笑みと光を宵々に 替(か)はすも…

野呂邦暢『古い革張椅子』

書き出しの一行できまるという。古い革張椅子 (1979年)作者:野呂 邦暢集英社Amazon 野呂邦暢のエッセイは淡々と無駄のない言葉が紡がれていて、飄々とした書き味はモノクロームな映像を見るようだ。 「書出し」という題のエッセイ: 文章には初めと終りがあ…

本の装丁

私のお宝本である『能楽全書』全七巻(東京創元社) 装丁がものすごく凝っている。表紙は能装束からとったもの。 観世宗家に蔵してある長絹文様で、紺地がかった萌黄色(もえぎいろ)。 『能楽全書』の題字は支那の古文から選定されたという懲りよう。 箱は撫…

ミサ曲ロ短調

バッハ: ミサ曲ロ短調アーティスト: ヨハン・ゼバスティアン・バッハ,カルロ・マリア・ジュリーニ,バイエルン放送交響楽団及び合唱団,ヤルト・ヴァン・ネス,デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン,ルート・ツィーザク,ロバータ・アレクサンダー,キース・ルイ…

お宝古本『火の魚』

二年前古本屋で見つけたお宝本。 それはこれ↓ 室生犀星の絶版本。函つき。美本。函から出すとこれまたすごい! 何と装丁は室生犀星自身!! 装画は山口蓬春 しかも中身。内容の小説がすごい! 栃折久美子(とちおり・くみこ) さんをモデルにした本の題名に…

 黒岩比佐子さんに捧ぐ

玉響(たまゆら)君の心は金の糸 わが心の布に刺繍(さ)したれば 光さやけし秋の日に 錦となりてふりつもる もみじの園生(そのお)竜田川 こがねまばゆい褥(しとね)となりて 一夜(ひとよ)の夢の枕辺(まくらべ)を 美(うま)し御国(みくに)に変えゆ…

追悼 黒岩比佐子さんを偲んで

明治・大正期のジャーナリズムや世相を生き生きと描いたノンフィクション作家の黒岩比佐子(くろいわ・ひさこ)さんが17日午後1時37分、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。52歳。告別式は19日午前10時30分、東京都文京区小石川3の7の4真珠…

黒岩比佐子さんが天に召された

「古書の森日記」のサイトをあけてびっくり。 黒岩比佐子さんが 「11月17日13時37分、黒岩比佐子さん永眠されました」 という信じたくない報があった。 実は14日から東京へ行っていた私は15日、聖路加病院のそばまで行った。お目にかかって、お見舞い出来る…