飛翔

日々の随想です

本の装丁

私のお宝本である『能楽全書』全七巻(東京創元社)
装丁がものすごく凝っている。表紙は能装束からとったもの。
観世宗家に蔵してある長絹文様で、紺地がかった萌黄色(もえぎいろ)。

能楽全書』の題字は支那の古文から選定されたという懲りよう。

箱は撫子(なでしこ)の菱(ひし)ツナギ。

これは単狩衣(かりぎぬ)の文様であずきいろ。見返しは柚色(ゆずいろ)。
見返しの次に掲げた歴代の名能役者(宝生英雄、観世寿夫、喜多六平太梅若六郎山本東次郎、など)の能舞台写真。
全六巻のうち、第六巻の各著者は阿部次郎、安部能成、有島生馬、高村光太郎土岐善麿瀧井孝作野上弥生子などそうそうたる人たちの出筆陣である。

生活するのにきつきつだったときこの全書をかってしまって逼迫したものだった。
ダス・ゲルトに窮した思い出と共にこの蔵書はある。