飛翔

日々の随想です

白秋

秋は人を詩人にします。 こんな詩を作ってみました。 白秋 金風爽籟 菊一輪 素風玲瓏 紅一葉 天空渺々 鳥一羽 白秋麗々 我一人

弓張り月

暮れ方の空を見上げると 弓張り月と星が並んでいた。 弓張り月 あの弓張り月に 愛の矢を射させよう 少年のようにはにかむ君と スカートのはじっこを ぎゅっと握っているわたし

星と花

星と花同じ「自然」のおん母の 御手にそだちし姉と妹(いも) み空の花を星といひ わが世の星を花といふ。かれとこれとに隔たれど にほひは同じ星と花 笑みと光を宵々に 替(か)はすもやさし花と星されば曙(あけぼの)雲白く 御空の花のしぼむとき 見よ白…

「そら〜〜〜」と言ってごらん

空に向かって「そら〜」と言ったことがあるかい? 小さな声じゃなく 大きな声で お腹のそこから 「そら〜〜〜」と言ってごらん 怖いことも さびしいことも ふあんなことも みんな、みんな 空がすいあげてくれるよ 空に向かって「そら〜」と言ったことがある…

ジョウビタキ

ちょっとめげてる金曜日。 泣きべそかけば春時雨 椿の花にジョウビタキ

「時」の隙間に

家路に着こうとしたそのとき 雨が激しく降ってきた 日曜日がもう終わろうとしている 終わり行く「時」の隙間に傘をさしかけた 濡れていない日曜日を探すように

あなたに逢いたくて生まれてきた詩

寒い夜、寝る前にゆっくりお風呂に体を沈めて目をつぶると、 「あぁ、いいお湯だ!」と思わず言ってしまう。 子供のころ、父がお風呂に入ると、同じような声が風呂場からしたものだ。 その父が病気になり、入院した。 病人の介護をしていてよごれものの世話…

十六夜(いざよい)

十六夜(いざよい) 妖しき月よ 十六夜よ あやかな光そこここに 闇に浮かびて冴え冴えと 清よらに澄みて寂となり もの想うこそせつなけり 月に祈りが届くなら 今宵一夜の契りとて かなうまじとぞ祈りける 妖しき月よ 十六夜よ あやかな光美しき 祈り届けと見…

白秋麗々

白秋麗々 金風爽籟 菊一輪 (きんぷうそうらい きくいちりん) 素風玲瓏 紅一葉 (そふうれいろう べにひとは) 天空渺々 鳥一羽 (てんくうびょうびょう とりいちわ) 白秋麗々 我一人 (はくしゅうれいれい われひとり) * * * 風もさやかに 菊一輪 色…

なみだ

なみだ悲しみを滲んで見えなくし 想いを溢れさせ 心の井戸を深めるもの

 黒岩比佐子さんに捧ぐ

玉響(たまゆら)君の心は金の糸 わが心の布に刺繍(さ)したれば 光さやけし秋の日に 錦となりてふりつもる もみじの園生(そのお)竜田川 こがねまばゆい褥(しとね)となりて 一夜(ひとよ)の夢の枕辺(まくらべ)を 美(うま)し御国(みくに)に変えゆ…

黒岩比佐子さんの『『食育』の人 村井弦斎』に捧げる歌

蒙(もう)啓(ひら)く食育の書(ふみ)よみがえり いまふたたびの村井弦斎 (Tsubuteさんが下の句を詠み、上の句を私が詠んだ歌です)

せみ時雨

たまゆらの命の謳歌せみ時雨

アフリカの舞姫

アフリカの舞姫 ここは地の果て最果ての アフリカの北、モロッコのタンジール カスバのモスクに夕日が落ちる頃 水タバコをくゆらす男達がたむろする 汗のすえたにおいの中を踊り子が舞い始めるタンバリンを打ちならし、足の鈴を踏みならし 豊かな胸を激しく…

黒南風(くろはえ)

黒南風(くろはえ)や 心の窓も閉じにけり ろこ

雨のトレモロ

軒伝う雨のトレモロ小刻みに 君恋うわれの鼓動にも似て

咎(とが)

青き星の澄めるまで 柔らかに棚引きたるは春霞 心ほどけてうらうらと こころ浮き立ち、憂さもなしことば清げに何語ろうが 無心を越えるものはなし許し給え 青き星、汚すものせめてもの贖(あがな)いに 新玉(あらたま)の心を持ちて 浄(きよ)すべし 青き…

木瓜(ぼけ)の花

わが家の庭には想い出深い木が一本ある。 木瓜の木だ。 花は白地にほのかな淡い赤がにじむように咲いて美しい。 入院している母に庭の木瓜の花を一枝とって持っていった。 花瓶にいけるとそこだけがあっというまにわが家の庭と化した。 「家に帰ったような気…

天空渺々

天空渺々(てんくうびょうびょう)金風爽籟 菊一輪 きんぷうそうらい きくいちりん 素風玲瓏 紅一葉 そふうれいろう べにひとは 天空渺々 鳥一羽 てんくうびょうびょう とりいちわ 白秋麗々 我一人 はくしゅうれいれい われひとり(by ろこ)※秋は人を詩人に…

空蝉(うつせみ)

空蝉(うつせみ) 蝉頃の暑き夜更けに 訪ねびと そは空蝉なりや 蝉なりや 夢まぼろしなりや うつつなる まなこに映る姿なし声なき声で鳴きいたる 過ぎこし方を眺むるに 土の思い出語りたる 暗き洞(ほら)なる彼方をば 声なき声で語りたる天なる空は限りなく…

涼風

寝室の東側の植え込みには銀もくせいが植わっている。銀木犀は金モクセイよりも香りがおだやかでつつましい。 慎ましいものは地味で控えめであるけれど、奥ゆかしい美がかくれているものだ。 母はそんな慎ましい人だった。 いつも大島紬の着物を着ていた。地…