飛翔

日々の随想です

2009-07-28から1日間の記事一覧

空蝉(うつせみ)

空蝉(うつせみ) 蝉頃の暑き夜更けに 訪ねびと そは空蝉なりや 蝉なりや 夢まぼろしなりや うつつなる まなこに映る姿なし声なき声で鳴きいたる 過ぎこし方を眺むるに 土の思い出語りたる 暗き洞(ほら)なる彼方をば 声なき声で語りたる天なる空は限りなく…

古本屋の店主

どんなに遠距離でも行きたいコンサートや催し物と云うものがある。6月の終わりごろある催し物があったそうだ。 それは今から書く書評の話の中心人物の朗読会があったそうだ。バーボン・ストリート (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日…

神田神保町古書店めぐり案内

自遊人 2006年 03月号カラットAmazon 英国の田舎町ヘイ・オン・ワイは世界初の「古書の町」としてつとに有名である。 わが国にも「神田神保町」という「古書の町」があるのを忘れてはいけない。 何百軒と軒をつらね、裏通りにいたる横道にも小さな店がある。…

青柳瑞穂の生涯

青柳瑞穂の生涯―真贋のあわいに作者:青柳 いづみこ新潮社Amazon阿佐ヶ谷の青柳瑞穂邸の引き戸をひくと鶏をぶらさげた太宰治が立っていて、 井伏鱒二、堀口大學、亀井勝一郎、外村繁、火野葦平、木山捷平、小田嶽夫らが顔をそろえている。 戦前この阿佐ヶ谷界…

涼風

寝室の東側の植え込みには銀もくせいが植わっている。銀木犀は金モクセイよりも香りがおだやかでつつましい。 慎ましいものは地味で控えめであるけれど、奥ゆかしい美がかくれているものだ。 母はそんな慎ましい人だった。 いつも大島紬の着物を着ていた。地…