飛翔

日々の随想です

空蝉(うつせみ)



 
    空蝉(うつせみ)
蝉頃の暑き夜更けに 
訪ねびと
そは空蝉なりや 蝉なりや
まぼろしなりや
うつつなる まなこに映る姿なし

声なき声で鳴きいたる
過ぎこし方を眺むるに
土の思い出語りたる
暗き洞(ほら)なる彼方をば
声なき声で語りたる

天なる空は限りなく
見果てぬ夢の舞いどころ
甍(いらか)をこえて軒こえて
空飛ぶ夢はかぎりなし

いのちはかなし
夏の日の
羽ふるわせて刻むるは
命を刻む砂時計

あゝ、蝉頃の夏の夜や
甍(いらか)をこえて軒こえて
空飛ぶ夢はかぎりなし

そは空蝉なりや 蝉なりや
まぼろしなりや
うつつなる まなこに映る姿なし

(命はかなき蝉の生涯に想いをはせて作ってみました byろこ)