飛翔

日々の随想です

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「思量を凝らせば即ち背く」

明日から六月である。 茶席も炉から風炉に変わる。 なるべく暑い炭の熱気をさけて炉を閉じて風炉釜を据えて火をみえないようにする心遣いである。そんな暑い季節,茶の湯では「花寄せ」というものがあってとても楽しい。これは葦(よし)の屏風などに掛け花入…

木下闇(このしたやみ)

長雨がやんで好天気の日曜日。田植えの風景があちこちに見える。 我が家はこの雨続きで庭があっというまにジャングルになった。ケヤキは一本で森を作り始め、それまで物干しをしていたのが、木下闇となって干せなくなった。自然の力、大樹の生育の旺盛さに目…

自分の目で

これだけ情報が氾濫すると、この情報の網を利用して仕事にしようとする人が多くなる。ブログもその一つになった。HPがその機能を果たしてきたが、いまやその境目もなくなんでもかんでも利用する。それは利用する者とされるものとが一致すれば問題はない。…

帰る巣はどこ?

夕食の準備をしている最中に電子レンジが故障した。コンセントの部分が接触不良をおこしているようだ。コンセント部分は一体化しているので部分的に交換する事はできないようだ。 便利なものが使えなくなると、とたんに不便になる。当たり前だけれど、これが…

「銀座に食事に行くぞ」 日曜日の夕方、父が家族に号令をかけた。 忙しい父と顔を合わせることが少なかった子どものころ、日曜日は久しぶりに父の顔を見ることができる日だ。そんな日曜日に銀座へ行くなんて飛び上がるほど嬉しいことである。 母はいそいそと…

野呂邦暢の『小さな町にて』

小さな町にて (1982年)作者: 野呂邦暢出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1982/05メディア: ?この商品を含むブログ (4件) を見る日記風に叙した随筆。はじめのほうの短いエッセイはそのまま短編小説の題材になりそうであるが、全編を流れるのは野呂が歩いて生…

『だいたいいくつ?』

例えばスパゲティーをゆでるのに、一人前の量のパスタはどうやってはかっていますか? 私は親指と人差し指で輪を作って一人前としています。約100gぐらいです。 また食事のカロリー計算をするときはご飯茶椀半分が約50gで一単位などと頭の中で見積もって一…

読書の鎖鎌

井上ひさしの本を読んでからというもの、次々と彼の作品を読む毎日だ。そしてその中の一冊『わが蒸発始末記』(中公文庫)に「現在望み得る最上かつ最良の文章上達法とは}「丸谷才一の『文章読本』を読め.とくに「第二章の名文を読め」を繰り返し読むがよろ…

我が家の事業仕分け

美容院の帰りに三省堂に寄ったのがいけなかった。本屋大賞第一位に輝いた『天地明察』(沖方丁著)角川書店、『ふふふふふ』井上ひさし(講談社)、『この本が世界に存在することに』角田光代(メデイアファクトリー)『エッセイ脳』岸本葉子(中央公論社)…

老境とイエスとBuddha

欧米に旅をしたり、欧米の絵画や文学にふれるとき、キリスト教について知っていたら、もっと理解がふかまっただろうにと思うことがある。 このところ、神谷美恵子さんの著書についておもいをめぐらせている。神谷美恵子さんは十代のとき、キリスト教伝道活動…

秋刀魚と心意気

「はい!焼けたわよ!」 秋の夕暮れ。おいしい匂いとけむりの中、母が七輪から皿に移したのは「さんま」。皿の上では、さんまがジュージュー音を立てている。焼けた順に食べるのが、我が家のさんまを食べるルールだ。家族の顔ぶれが揃うまでじっとテーブルで…

五月の薔薇

今日はみごとな五月晴れ。 さわやかな緑の風に吹かれて、愛知県東海市にある公園へでかけた。 バラ園は少し盛りを過ぎたようだが、色とりどりのバラが香り豊かに咲き乱れていた。 さわやかな風の中にバラの馥郁(ふくいく)とした香りがただよって豊かな五月…

咎(とが)

青き星の澄めるまで 柔らかに棚引きたるは春霞 心ほどけてうらうらと こころ浮き立ち、憂さもなしことば清げに何語ろうが 無心を越えるものはなし許し給え 青き星、汚すものせめてもの贖(あがな)いに 新玉(あらたま)の心を持ちて 浄(きよ)すべし 青き…

『大根列車』(汽笛は時空を越える)

戦後77年が過ぎようとしている。 戦争を知っている人が次第に少なくなろうとしている。 「平和」と簡単にいうが、戦争を知らないものたちは「平和」のありがたさも知らないのではなかろうか。 私も戦争を知らない世代だ。 では戦争の悲惨さやむなしさや殺戮…

「待つ」にみる女心

「待つ」というのは心の中にさまざまなものが去来するものだ。はるかいにしえにさかのぼって、万葉人はどんな風だったか考えてみよう。 『萬葉集一』(完訳日本の古典2)小学館から萬葉集巻第二 相聞 磐姫皇后(いはのひめおほきさき)、天皇(仁徳)を思ひ…

血へどの読書

井上ひさしの「血反吐を吐くほど本を読め」に倣って本を読もうと思うが、なかなかそうはいかない。しかし、これまでの漫然と読んできた読み方とは違ってとにかく本を読もう。書くのは次の次だ。わが本棚には売るほど本があるのだから、これらを片っ端から読…

芥川賞&直木賞よりもすごい賞

本の題名は忘れたけれど、井上ひさしが、文を上手に書くには「血へどを吐くほど本を読め」とあった。 いつも駄文を書きながら、もうちょっとましな文を書きたいと思う。そう思いながらも、いつもの怠けぐせがでて、よく推敲もしないで載せている。時々読者の…

『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 』

井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 (新潮文庫)作者: 井上ひさし,文学の蔵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/12/26メディア: 文庫購入: 18人 クリック: 107回この商品を含むブログ (63件) を見る『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 』は1996年1…

「時代横丁」を観て

今日は快晴にして湿度もなくからっと新緑の候にふさわしい週末となった。 今年の目標は随筆を中心に読むことと芝居をたくさん見ることをかかげた。 今日は珍しい「見るラジオドラマ」を標榜(ひょうぼう)する「時代横丁」なるお芝居を見に行くことにした。 …

日常の中の能

春のうららかな日のことだった。父と母が珍しく草取りをしていると、隣の家でもどうやら草取りをはじめたらしい音がする。隣家との間には桜の木が植わっていた。草取りをしているのは新婚カップルのお婿さんらしい。やがてそのお婿さん、ふと桜をみながら謡…

歌舞伎の名ゼリフと俳句

連休最後の日も快晴。 気温は26度以上の夏日。庭の草木が花盛りを向かえ、今が一番目にさやかな季節だ。連日あちこちに出かけたので、今日はゆっくりと家でくつろぐことにした。手紙を書いたり原稿を書き、頭や目が疲れると庭の花々を眺めやる。そんな時の過…