飛翔

日々の随想です

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『小さな町にて』

小さな町にて (1982年)作者: 野呂邦暢出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1982/05メディア: ?この商品を含むブログ (4件) を見る日記風に叙した随筆。はじめのほうの短いエッセイはそのまま短編小説の題材になりそうであるが、全編を流れるのは野呂が歩いて生…

無精箱 

日本の冬の居間には炬燵がつきものだ。 しかし、この炬燵、快適すぎて出るのがおっくうになる。 はさみが必要でもとりに行くのがおっくうだと誰かが居間に来るのを待ったりする。来たとたんに用事を頼む。 そんな感情は江戸時代の人も同じだったようだ。 こ…

「UK Unlimited」とNorah Jones

車に乗りながら聴く音楽はいろいろあるけれど、毎週火曜日午後4時。FM愛知から流れる’90年代洋楽ヒットを聞くのを楽しみにしている。ルーシー・ケントの美しい英語の紹介も楽しみの一つ。 今日は大好きなノラージョーンズ(Norah Jones)をたっぷり聞くこ…

能楽と和歌

能「忠度」(ただのり)は世阿弥の作とされるもので、武将であると同時に歌人でもあった忠度(ただのり)の『千載集』(せんざいしゅう)についての執心と忠度(ただのり)最期(さいご)の有様を語る能である。 これは修羅物とよばれるものであるけれど、修…

いのちを支えるスープ

じっくりと、ことこととお鍋が台所で湯気を立てている。 幸せを絵にするならばそんな風景ではないだろうか?そんな台所からうまれた滋味豊かな本を紹介しよう。 『いのちを支えるスープ』 いまや著者の辰巳 芳子さんはテレビでもひっぱりだこ。 料理教室に入…

ひいき目に見てさへ寒いそぶりかな

朝晩涼しくなってきた。いや、そうではない。寒くなってきたといってよい。 寒くなるとなぜか人は体を丸くする。丸くなって、体の表面積をなるべく少なくし、寒気から身を守ろうとするからだ。自分の動作を思い起こしてみると、寒い朝、新聞を取りに出るとき…

空をかついで

空をかついで作者: 石垣りん出版社/メーカー: 童話屋発売日: 1997/01/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 詩人石垣りんさんの訃報を知ったのは3年前のことだった。 その詩は甘ったるい形容詞など無用。 生活に根ざした言葉の…

私生活

私生活 (文春文庫)作者: 神吉拓郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1986/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 我が家はいたって普通の家庭である。 隣近所、友人もごく普通の人たちばかり。変わったことなど起こりようがないと思うほどだ。…

現代の詩人〈4〉黒田三郎

現代の詩人〈4〉黒田三郎 (1983年)作者: 大岡信,谷川俊太郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1983/08メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る 敗戦後の荒んだ時代、『ひとりの女に』という恋愛詩集をだし、現代詩人会第五回H氏賞を得た黒田三郎。 …

能(観世流)「蝉丸」替え型 

観能記名古屋能楽堂での観能記の再掲載である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 名古屋能楽堂定例会は 能「蝉丸」(観世流)泉嘉夫、近藤幸江 能「百萬」(宝生流)衣斐愛 半能「石橋」(観世流)古橋正邦、武田大志 狂言(和泉流)…

炬燵と寺田虎彦の俳句

寒波がすっぽりと列島を覆った。 寒い寒い「文化の日」であった。 あまりにも寒いので炬燵をだし、灯油を買いに走った。 炬燵といえば物理学者で随筆家でもあった寺田寅彦の俳句にこういうのがあった: (終夜妻の柩を守りて) ・今そこに居たかと思ふ火燵か…

橘曙覧全歌集

いろいろああでありたい、こうでありたい、あれがほしい、これがほしいと最近は思わなくなった。 ただひたすら健康で無事であれば良いと願うのである。 幸せと云うものがあるのなら、それはふと笑みがこぼれるところから生まれるのではないだろうか?。 では…

人生を豊かにする日本語

人生を豊かにする日本語作者: 谷沢永一出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2004/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る『人生を豊かにする日本語』谷沢永一 幻冬舎「酢豆腐」「多岐亡羊」「汗牛充棟」さて意味は如何に? ことわざ、言葉の妙、を…