飛翔

日々の随想です

詩歌

一番星

夕方の台所 味噌汁の匂い 菜っ葉を刻む音 皿のざわめき ジュージューさんま 「ご飯できたわよ〜」 台所の上には一番星がまたたきはじめた あれは母さんだ 誰か、星にかけるはしごをかして

貝殻忌

3月22日は「貝殻忌」 童話作家 新美南吉の命日です。 童話作家 新美南吉 宮澤賢治と並び日本きっての児童文学者として、今なお多くの人に 愛されている新美南吉は、半田市出身です。 29年の短い生涯に、「ごんぎつね」「てぶくろをかいに」をはじめ世代を超…

白薔薇を歌へる

白薔薇を歌へる オフェリヤの白衣に似たる、 しみもなき白き花、 地に積もりたる雪のごと、 散りては、かなし。美しき薔薇の花、 花瓶の水に散り、 恋の形見とや云はまし、 花のつや溺れ悩める。さはれ薔薇よ、わが心のうちには生きよ! わがために、花のひ…

蕗のとう

今は亡き母恋しくて蕗のとう 人生には思いもよらないことが突然おきたりする。そんなときほとんどの人が気が動転して自分をなくしがちだ。そんな事件がわが家にも起きた。 私は三人姉妹の末っ子。一番上の姉は一回り以上も離れている。 私が生まれたばかりの…

雨のトレモロ

軒伝う雨のトレモロ小刻みに 君恋うわれの鼓動にも似て

原っぱ

いつも愛犬クッキーと散歩する原っぱは子どもたちでいっぱい。 子どもがいっぱいあふれている原っぱは明るさもいっぱい。 子どもはからだじゅうで生きている。 子どもはからだじゅうで笑ってる。 子どもはからだじゅうで走ってころんで泣いている。 クッキー…

夕方の台所

夕方の台所味噌汁の匂い 菜っ葉を刻む音 皿のざわめき ジュージューさんま「ご飯できたよ〜」台所の上には一番星がまたたきはじめたあ!あれは母さんだ誰か、星にかけるはしごをかして (by ろこ)

みがく

服から飾りをとり 顔から化粧をとる 文から修飾語、美辞麗句、引用をとり 唇から追従をとる 削(そ)いで削いで 何もなくなる寸前まであらゆるものを削ぐ それは純米を磨いて、磨いて、研(と)いで研いで 一粒の米を研げるだけ研いで出来あがる極上の吟醸酒…

猫の辞典

猫の辞典猫・・・・・ヒゲのある女の子 猫・・・・・闇夜の宝石詐欺師 猫・・・・・謎解きしない名探偵 猫・・・・・この世で一ばん小さな月を二つ持っている 猫・・・・・青ひげ公の八人目の妻 猫・・・・・財産のない快楽主義者 猫・・・・・毛深い怠け娼…

上弦の月

上弦の月とおいむこうの そのまたむこうの 広い大地と空一万年前のほら穴で あなたのかえりをまった 遠くで狩をするあなた言葉にならない言葉で あなたを呼び 歌にならない歌で あなたを恋(こ)うた幾つもの星がうまれ 幾つもの星がきえた半分に割れたマル…

「父」

今度の日曜日は父の日。もうこの世にはいなくなってしまった「父」を思う。 こんな詩を読んだ。 「父」 吉野 弘何故 生まれなければならなかったか。子供が それを父に問うこともせず ひとり耐えつづけている間 父は きびしく無視されるだろう。 そうして 耐…

貝殻

海へ行くと必ず私は貝殻を拾う。 愛知県半田市が生んだ童話作家 新美南吉は美しくはかない詩、作品を多く書いた。 人は誰でも心のうちにかかえた悲しみをそれぞれに癒したり耐えたりして生きていく。そんな内なる悲しみを貝殻に、心を温めようとする南吉の詩…

雨のトレモロ

軒伝う雨のトレモロ小刻みに 君恋うわれの鼓動にも似て

蓮(はちす)の歌

昼なお暗き塩入峠 峠を閉ざす雪憎し あの人逢いたし 雪深し 赤い着物に 白の打掛け羽織り はだける肩に 鼓持ち 謡う調べは 蓮(はちす)の歌か 出家(しゅっけ)の人に 馳せる恋 恋慕の情は 燃えさかり 雪を溶かして 僧の元 鐘にひそみて 契りしを こぼれる…

Forget-me-not

(Forget-me-not) ・君の部屋 花瓶にそっと挿してきた 私の心 忘れな草を

まどろみ

・傷つきし翼休めてまどろみを君のみ前に光り満つまで

春の賛歌

春うらら 名もなき花を冠に れんげの花の首飾り 胡蝶の如く舞う君は 麗しの野辺(のべ)の姫君 花の精 僕の心に菜の花咲いて 琴弾き鳥が告げて鳴く 愛の調べを奏でよと 僕の心の竪琴は 君への想いを かき鳴らす 星の高みに届けとばかり ミモザの花の木の下で…

St.Valenteine's Day (特集その1)愛する人へ

上弦の月とおいむこうの そのまたむこうの 広い大地と空一万年前のほら穴で あなたのかえりをまった 遠くで狩をするあなた言葉にならない言葉で あなたを呼び 歌にならない歌で あなたを恋(こ)うた幾つもの星がうまれ 幾つもの星がきえた半分に割れたマル…

見知らぬ子へ

丸一日降り続いた雨がやんだ。 寒いので炬燵をだした。まだ早いといった本人が真っ先に温まっていた。 こんな詩が炬燵の代わりに私を温めてくれた。 見知らぬ子へ 辻征夫何だかとてもおこりながら すたすた歩いて行くおかあさんのうしろから 中学に入ったば…

夕方の台所

夕方の台所 味噌汁の匂い 菜っ葉を刻む音 皿のざわめき ジュージューさんま 「ご飯できたわよ〜」 台所の上には星がまたたきはじめた あれは母さんだ 誰か、星にかけるはしごをかして(by ろこ)

芭蕉が到達した生涯の代表作

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」で始まる『奥の細道』は、人生すなわち旅とした”旅の詩人”芭蕉が到達した生涯の代表作といえる。 この芭蕉の研究家であり、近世文学、特に俳諧史を専門とする櫻井武次郎さんが惜しくも四年前にお亡くなりにな…

空蝉

蝉頃の暑き夜更けに 訪ねびと そは空蝉なりや 蝉なりや 夢まぼろしなりや うつつなる まなこに映る姿なし声なき声で鳴きいたる 過ぎこし方を眺むるに 土の思い出語りたる 暗き洞(ほら)なる彼方をば 声なき声で語りたる天なる空は限りなく 見果てぬ夢の舞い…

蝉の詩

蝉の羽化↓ 我が家の東の一角に一本で森を作っているケヤキがある。そのケヤキの土中で何十年と云う眠りから覚めようとしている者たちがいる。それは蝉。 今日はそんな蝉の声を紹介しよう。 大好きな木山捷平の詩である。 蝉の詩おれはもう十三年地べたの中で…

空蝉

セミの声がきこえるようになってきた。いよいよ夏の盛り。 蝉の詩をかいてみた。 空蝉蝉頃の暑き夜更けに 訪ねびと そは空蝉なりや 蝉なりや 夢まぼろしなりや うつつなる まなこに映る姿なし声なき声で鳴きいたる 過ぎこし方を眺むるに 土の思い出語りたる …

句会へのご招待

夏にまつわる五七五句会「ざれ句」会を開催しております。 ざれ句会ですので、五七五の字数だけを守れば誰でも参加できます。 勝敗や優劣のない、自由で、楽しい言葉遊びの会です。 詳細は別サイト「言葉の泉」をご覧ください。↓ 「ざれ句会」へのご招待

雨牡丹

雨宿り隣り合わせの牡丹かな (ろこ)

世を偽りのこむらさき

あと五日ほどで五月だ。 堀口大學の詩集を久しぶりに読んでみた。 五月五月のいろはこむらさき されば藤さきあやめさき 桐の花さへさきぬめり 世を偽りのこむらさき(堀口大學詩集より「五月」)幸福のパン種―堀口大学詩集作者: 堀口大学,堀口すみれ子出版社…

ヴァレンタインの日に捧げる詩(上弦の月)

上弦の月 とおいむこうの そのまたむこうの 広い大地と空一万年前のほら穴で あなたのかえりをまった 遠くで狩をするあなた言葉にならない言葉で あなたを呼び 歌にならない歌で あなたを恋うた幾つもの星がうまれ 幾つもの星がきえた半分に割れたマルメロの…

雪憎し

昼なお暗き塩入峠 峠を閉ざす雪憎し あの人逢いたし 雪深し赤い着物に 白の打掛け羽織り はだける肩に 鼓持ち謡う調べは 蓮(はちす)の歌か 出家(しゅっけ)の人に 馳せる恋恋慕の情は 燃えさかり 雪を溶かして 僧の元鐘にひそみて 契りしを こぼれる萩は …