飛翔

日々の随想です

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

雨はいちんち眼鏡をかけて

尾形亀之助詩集 (1975年) (現代詩文庫〈1005〉)尾形 亀之助思潮社このアイテムの詳細を見る 六月は陰暦六月の雅語として「水無月」と呼ばれる。六月は雨がよく降る月であり、水が無いの反対である。「水無月」の「無」は「無い」ではなく、「の」にあたる連…

蝸牛角上争何事(かぎゅうかくじょう何事か争う)

対酒(白楽天) 蝸牛角上争何事 (かぎゅうかくじょう何事か争う) 石火光中寄子此身 (せっかこうちゅう此の身を寄す) 随富随貧且歓楽(富みに随い貧に随いしばらく歓楽す) 不開口笑是痴人(口を開いて笑わざるは これちじん)つまり,物事を大きな目で見る…

漢字と仮名の美学

旧仮名遣い(歴史的仮名遣い)は外来語を含む言葉や若者が使う言葉や文体には似つかわしくないと先入観を持っていた。 しかし、松原未知子さんの歌(松原未知子歌集『戀人(ラバー)のあばら』1997年・(砂子屋書房刊)) はフランス語を含む外来語を駆使して…

オイゲン・キケロのロココ・ジャズ

今やクラシックのジャズ化は当たり前のようになった。 ジャズでクラッシックを演奏するというのはオイゲン・キケロやジャック・ルーシエ、ギュンター・ノリス、スイスのジョルジュ・グルンツなどが演奏して耳になじみがある。 数年前のモーツアルト生誕記念…

ベトナムの雨は詩である

夏至 特別版 [DVD]発売日: 2002/01/25メディア: DVD トラン・アン・ユン監督『夏至』のDVDの紹介である。 ストーリーは母親の命日に集まった3姉妹と兄弟。3姉妹は仲が良いがそれぞれ誰にも言えない秘密を抱えている。理想の夫婦だと思っていた母が本当に愛し…

つり初(そ)めて蚊帳の薫りや二日ほど

連日29度と言う真夏日の当地。半そで姿もあちらこちらで目にするようになった。 夜中に蚊に刺されて目が覚めた。にっくき蚊め!!! 去年の古くなった蚊取り線香を取り出して夜中にいぶし始めた。こうこうと電気をつけて蚊の動きを見張るも姿なし。蚊もいぶ…

「ブルーノート」伝説のジャケット400点

Blue Note: Album Cover Art - The Ultimate Collection作者:Marsh, Graham,Callingham, GlynChronicle BooksAmazonジャズレーベルの雄「ブルーノート」。その40年代から70年代までの伝説のジャケット400点近くを集めたものが本書である。 懐かしいジャケッ…

追憶のひとひらに花は咲けり

よその家に行ってお玄関に花が活けてあるとその家の女主人のたしなみを感じる。 我が家でも家のそこここに花を活ける。活けた花の辺りからあかりが射して、さわやかにしてくれ心地よい。 何もかもが枯れて花の一輪も咲かない真冬に、黄金色(こがねいろ)の…

下駄に小さな先客が

昨日と今日と、気温は上がり夏日となった。今日は29度。半そで姿になった。こんな日はこんなものが飲みたくなる。 来月締め切りの原稿を二本仕上げ、来週締め切りの原稿を4本、仕上げてへたばった。こんな日はおいしいものを食べるにかぎる。名古屋まで車を…

牡丹とフランス語と俳句

その昔、夏休みの宿題に田山花袋の「蒲団」を英訳してこいというのがでた。 翻訳とは何と難しい物かと実感した。英語以前に日本語を熟読玩味しないと訳せない。 しかも作者の文体、作風を殺さないようにするなんて事は至難の業だと思った。 しかし翻訳によっ…

夜とジャズと随筆と

夜のバラードクリエーター情報なしビクターエンタテインメント 昔、ジャズボーカルをやっていたことがある。 今日はむしょうにサリナ・ジョーンズが聴きたくなった。CDラックを探してもみつからない。そこで図書館へ出かけて借りてくることにした。このCDに…

於大公園

昨日は曇り空の中、徳川家康の生母、於大の方ゆかりの寺、乾坤院(けんこんいん)を訪ねた。乾坤院(けんこんいん)は愛知県東浦町緒川沙弥田4(JR武豊線緒川駅下車徒歩20分)にある。 徳川家康の生母として有名な「於大の方」は、14歳の時、岡崎城主松…

翻訳の妙

ヴェルレーヌの詩を翻訳により味わいが異なる例をあげてみたい。 「都に雨の降るごとく」ヴェルレーヌ (鈴木信太郎訳) 都に雨の降るごとく わが心にも涙ふる。 心の底ににじみいる このわびしさは何ならむ。大地に屋根に降りしきる 雨のひびきのしめやかさ…

ろうそく能

2009年6月に行われた「ろうそく能」狂言のレビューである 「ろうそく能」のレビューである 。 豊田市能楽堂 午後5時。客席も能舞台も真っ暗闇の開演である。 笛と大小の鼓が聞こえ始め、能舞台に手蜀を持った人が二人、静々と入って来て、橋掛かり、舞台と計…

「ろうそく能」鑑賞記「屋島」弓流し奈須与市語り

「ろうそく能」鑑賞記である。 能(観世流)「屋島」弓流し 奈須与市語り 前シテ漁翁(後シテ)源義経:武田志房 ツレ魚夫 :武田友志 ワキ旅僧 :福王和幸 アイ屋島の裏人 :小笠原 匡 内容 旅の僧が四国の屋島で塩作りの家に泊めてもらう。 主の老人は僧が…

小説 日本婦道記

小説日本婦道記 (新潮文庫)作者:周五郎, 山本新潮社Amazon 武家の時代に男は命をかけて主君に使えていた。 一方それを支えていた妻や女達も献身的に、時には不遇を予期しても凛とした生涯をつらぬいてきた。 本書はそんなつつましくけなげに生きてきた多くの…

句会へのご招待

夏にまつわる五七五句会「ざれ句」会を開催しております。 ざれ句会ですので、五七五の字数だけを守れば誰でも参加できます。 勝敗や優劣のない、自由で、楽しい言葉遊びの会です。 詳細は別サイト「言葉の泉」をご覧ください。↓ 「ざれ句会」へのご招待

修学旅行はどこ?

遠くに牛の鳴き声が聞こえるひなびた地域の、ある夜の出来事である。時は午後八時。小高い丘の八合目に建つ一軒の住宅に軽トラックが横付けされた。車体には「ラーメンハウス」と書かれてある。 出てきたのは年の頃は四十代とおぼしき男性。白い長靴姿である…

人学ばざれば知なし

今日は台風接近と低気圧の関係で豪雨。 激しい雨の中、勉強会に出かけた。並み居るつわものどもに混じって小心者の(?)私は小さくなっている。というのは嘘で、リラックスして楽しみながら勉強している。というのも、いつも私を励ましてくださる先輩がいら…

蚊を疵にして五百両

我が家の庭は今、すごいことになっている。 雑草だらけでジャングル状態である。 家の中にはお酒を飲むと虎になる猛獣もいるし、キャンキャン文句ばかり言っているメス猿もいるので、さながらアフリカの奥地のようだ。 庭のあちこちに排水溝が設けられている…

路地を行く

運動不足解消と気分転換をかねて散歩を楽しんでいる。 昨日は片道一時間ほど離れた本屋まで歩いていくことにした。 いつもは車で通ればまっすぐな道を20分で着ける。 散歩をするのに、広い道を歩くことほどつまらないものはない。 路地をめぐって歩くことに…

雨牡丹

雨宿り隣り合わせの牡丹かな (ろこ)

弱さも人間の魅力

人との会話の中でふとみせるその人の優しさや温かさに触れるとその日一日がほっこりとする。 それは犬の散歩で出逢う人との会話であったり、花に水やりしているときに話しかけてくる見ず知らずの人だったり、仕事のスタッフが人知れず見せる気遣いの優しさだ…

「こうけつあつ」と朝市

毎週土曜日になると、近郊の農家のおばさんたちが朝市を開く。朝採ってきたばかりの新鮮な泥つき野菜やイチゴハウスの朝摘みイチゴは大人気だ。 買いに来るお客もおばさんたちが多い。その中に、もちろん「元お嬢さん」だった私もいる。 朝早くから詰め掛け…

母の日に

今日は「母の日」だ。亡き母を偲んだ一文を載せよう。 人生には思いもよらないことが突然おきたりする。そんなときほとんどの人が気が動転して自分をなくしがちだ。 そんな事件がわが家にも起きた。私は三人姉妹の末っ子。一番上の姉は一回り以上も離れてい…

ビブリオ係数

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める飲食費のパーセントのことだ。ではビブリオ係数なるものがあるのをご存知でしょうか? もちろん知ってるわよとおっしゃる方には釈迦に説法ですが、家計の消費支出に占める書籍のパーセントのこと。 我が家はこのビ…

『柿の種』

柿の種 (岩波文庫)作者:寺田 寅彦岩波書店Amazon 日常の中の不思議を分かりやすく、実にあじわいある文であらわす物理学者で随筆の名手である寺田寅彦の随筆集である。 「なるべく心のせわしくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでも…

あかねさす むらさきの

花水木が新緑に映えて美しい。そして鉄線が勢いよくツルを伸ばし花が咲き始めた。 植物の紫は息をのむほど美しい。この紫が好きで紫の地の訪問着を新調したが、失敗した。紫はどの人にも似合う色ではない。 「紫」はもともとムラサキ(紫草)という植物の名…