飛翔

日々の随想です

ビブリオ係数


エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める飲食費のパーセントのことだ。ではビブリオ係数なるものがあるのをご存知でしょうか?
 もちろん知ってるわよとおっしゃる方には釈迦に説法ですが、家計の消費支出に占める書籍のパーセントのこと。
 我が家はこのビブリオ係数が高い。靴を買おうと思って値段を見てやめることはあっても、本代が高いからと言ってやめることは少ない。と言っても、そうそう高価な本を買うことはない。
 しかし先日ポール・ボウルズの『蜘蛛の家』(白水社)が読みたくなって買おうと思ったが、高価なのでさすがにためらった。ためらったが、どうしても読みたい衝動に駆られる。そういうときは図書館様を利用するに限る。早速最寄の図書館に電話してあるかどうか調べてもらった。あると言う返事に閉まる寸前だったが、車をすっとばして借りに出かけた。この難解なモロッコの作家の本を読む人は少ないのか、まっさらな本の様子にうれしくなった。
 目下(もっか)読書中であるが、元来、私は蔵書派である。
 読みたい本がすぐ手元にないとさみしい。愛読書は何十回と読むので蔵書として持っていたいのだ。自分の買い求めた本が本棚にずらりと並んでいる書庫にいるときが至福のときだ。書庫にベッドがあり、机があり、お茶の道具があればこんな嬉しいことはない。
 しかし、そうなると書庫から出てこなくなって、引きこもりになってしまうこと間違いなしである。
 さてさて、しばらくはポール・ボウルズの『蜘蛛の家』を読みふける日々となりそうだ。