飛翔

日々の随想です

2009-01-01から1年間の記事一覧

2009年おおつごもり

2009年のおおつごもりの今日。風強しといえども天気晴朗なり。 この一年が過ぎていこうとしている。親戚のまだ独身の若者が難病で職もなく年老いた親に介護されながら行く年を越し、新しい年を迎えようとしている。親類の私は何かをしてあげようとしてもその…

書斎の片付け

大掃除で何が一番大変かと言うと今やっている書斎の片づけだ。足の踏み場もないほどの本の山の整理ほど大変なことはない。何しろ本を整理しようにもあとは捨てるしかないのだから。これが捨てることができない。みんなわが分身。それでもかたづけているうち…

空をかついで 石垣 りん

空をかついで童話屋Amazon 詩人石垣りんさんの訃報を知ったのは今から5年前の暮れのことだった。 詩人・石垣りんの詩は甘ったるい形容詞など無用。 生活に根ざした言葉の切っ先がまっすぐ詩の背骨を貫き、読む者の心にざっくりときりかかる。 くらし食わずに…

本の虫はいつまでたっても本の虫

今年はずいぶん本を買い込んだ。NYや英国の古本屋まで食指をのばして買った。それらを読んだが書評はほとんど書かずじまいで終わった。 年末になってまた岩本素白随筆や野口冨士男随筆集を買い込んだ。仕事の合間にこれらを読む楽しみがあるとおもうとお正月…

Merry christmas !

原稿依頼

一週間ばかりバルセロナへ旅行していたが、日曜日に帰国した。 昨日の夜メールをチェックしたら、さるところの編集長からじきじきに原稿依頼のメールが入っていてびっくり!おっとりがたなで引き受けたけれど、どうなることやら。下手な文章も書いていると誰…

「一箱古本市の歩き方」トークショー

今日は『一箱古本市の歩き方』を上梓された南陀楼綾繁さんと東京早稲田にある「古書現世」店主向井透史さん(古書現世店主・「わめぞ」代表)が名古屋へ見えてトークショーをなさるというので行ってきた。トークショー「一箱古本市の歩き方」 「一箱古本市の…

『母の蛍』

寺山修司のいる風景―母の蛍 (中公文庫)作者: 寺山はつ出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 寺山修司のご母堂、寺山はつが書いた『母の蛍』(中公文庫)。 これが実にいい本で驚…

『小さな町にて』

小さな町にて (1982年)作者: 野呂邦暢出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1982/05メディア: ?この商品を含むブログ (4件) を見る日記風に叙した随筆。はじめのほうの短いエッセイはそのまま短編小説の題材になりそうであるが、全編を流れるのは野呂が歩いて生…

無精箱 

日本の冬の居間には炬燵がつきものだ。 しかし、この炬燵、快適すぎて出るのがおっくうになる。 はさみが必要でもとりに行くのがおっくうだと誰かが居間に来るのを待ったりする。来たとたんに用事を頼む。 そんな感情は江戸時代の人も同じだったようだ。 こ…

「UK Unlimited」とNorah Jones

車に乗りながら聴く音楽はいろいろあるけれど、毎週火曜日午後4時。FM愛知から流れる’90年代洋楽ヒットを聞くのを楽しみにしている。ルーシー・ケントの美しい英語の紹介も楽しみの一つ。 今日は大好きなノラージョーンズ(Norah Jones)をたっぷり聞くこ…

能楽と和歌

能「忠度」(ただのり)は世阿弥の作とされるもので、武将であると同時に歌人でもあった忠度(ただのり)の『千載集』(せんざいしゅう)についての執心と忠度(ただのり)最期(さいご)の有様を語る能である。 これは修羅物とよばれるものであるけれど、修…

いのちを支えるスープ

じっくりと、ことこととお鍋が台所で湯気を立てている。 幸せを絵にするならばそんな風景ではないだろうか?そんな台所からうまれた滋味豊かな本を紹介しよう。 『いのちを支えるスープ』 いまや著者の辰巳 芳子さんはテレビでもひっぱりだこ。 料理教室に入…

ひいき目に見てさへ寒いそぶりかな

朝晩涼しくなってきた。いや、そうではない。寒くなってきたといってよい。 寒くなるとなぜか人は体を丸くする。丸くなって、体の表面積をなるべく少なくし、寒気から身を守ろうとするからだ。自分の動作を思い起こしてみると、寒い朝、新聞を取りに出るとき…

空をかついで

空をかついで作者: 石垣りん出版社/メーカー: 童話屋発売日: 1997/01/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 詩人石垣りんさんの訃報を知ったのは3年前のことだった。 その詩は甘ったるい形容詞など無用。 生活に根ざした言葉の…

私生活

私生活 (文春文庫)作者: 神吉拓郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1986/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 我が家はいたって普通の家庭である。 隣近所、友人もごく普通の人たちばかり。変わったことなど起こりようがないと思うほどだ。…

現代の詩人〈4〉黒田三郎

現代の詩人〈4〉黒田三郎 (1983年)作者: 大岡信,谷川俊太郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1983/08メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る 敗戦後の荒んだ時代、『ひとりの女に』という恋愛詩集をだし、現代詩人会第五回H氏賞を得た黒田三郎。 …

能(観世流)「蝉丸」替え型 

観能記名古屋能楽堂での観能記の再掲載である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 名古屋能楽堂定例会は 能「蝉丸」(観世流)泉嘉夫、近藤幸江 能「百萬」(宝生流)衣斐愛 半能「石橋」(観世流)古橋正邦、武田大志 狂言(和泉流)…

炬燵と寺田虎彦の俳句

寒波がすっぽりと列島を覆った。 寒い寒い「文化の日」であった。 あまりにも寒いので炬燵をだし、灯油を買いに走った。 炬燵といえば物理学者で随筆家でもあった寺田寅彦の俳句にこういうのがあった: (終夜妻の柩を守りて) ・今そこに居たかと思ふ火燵か…

橘曙覧全歌集

いろいろああでありたい、こうでありたい、あれがほしい、これがほしいと最近は思わなくなった。 ただひたすら健康で無事であれば良いと願うのである。 幸せと云うものがあるのなら、それはふと笑みがこぼれるところから生まれるのではないだろうか?。 では…

人生を豊かにする日本語

人生を豊かにする日本語作者: 谷沢永一出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2004/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る『人生を豊かにする日本語』谷沢永一 幻冬舎「酢豆腐」「多岐亡羊」「汗牛充棟」さて意味は如何に? ことわざ、言葉の妙、を…

『バーボン・ストリート』沢木耕太朗著 新潮文庫

どんなに遠距離でも行きたいコンサートや催し物と云うものがある。6月の終わりごろある催し物があったそうだ。 それは今から書く書評の話の中心人物の朗読会があったそうだ。バーボン・ストリート (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日…

本の国の王様

本の国の王様作者: リチャードブース,ルシアスチュアート,Richard Booth,Lucia Stuart,東真理子出版社/メーカー: 創元社発売日: 2002/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る神保町の古書店主がある日突然この町を「独立国」と…

聞いて楽しむ百人一首

子どものころの楽しみといえば、家族で百人一首のカルタとりだった。 私の得意なカルタをひざのそばにおいて今か今かと待ち構えてついに読まれた!とたんに、父がとってしまって大泣きしたことがあった。 大泣きしているそばで母が父に「お父様ったら!ろこ…

『王女マメーリア 』ロアルド・ダール著

王女マメーリア (Hayakawa Novels)作者: ロアルド・ダール,Roald Dahl,田口俊樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1990/01メディア: 単行本購入: 1人 この商品を含むブログ (1件) を見るロアルド・ダールと聞くと何を思い浮かべるだろうか? 最近では映画「…

古本あれこれ 

運動不足解消と楽しみとをかねてちょっと遠くの本屋まで歩いていくことにした。行きは下り坂なので30分で目的地に到着。しかし30分も歩くと汗がでてくる。 4700歩ほど歩いた。大型書店では最近古本の買い付けと販売もはじめたので、様子をみる目的もあった。…

喜多流名人能役者 『六平太芸談』より

能の稽古(謡と仕舞い)に出かけた。 『芭蕉』を稽古したのだけれど、あるところへ来ると何回やってもうまくいかない。師も親身になって稽古をつけてくれるのだけれど、さすがにあまりにも不出来な私にとうとう匙をなげてしまわれた。 「駄目なときは何回や…

小犬のピピン

小犬のピピン (せかいのどうわシリーズ)作者: ローズマリサトクリフ,小野かおる,Rosemary Sutcliff,猪熊葉子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/07/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る 美しく清らかなものにふれたくな…

からすうり綺譚

「からすうり」の花をみたことがあるだろうか? 信じがたいほど幻想的で夢の世界にいるような花を咲かせるのだ。 それも夜咲くので咲く瞬間を目撃することはよほど注意していないと遭遇しない。 能・歌舞伎の「土蜘蛛」をドラマテイックにしているのは、いう…

古本の釣果

曇り空の土曜日。 古本屋へ立ち寄る。 絶版本『セヴィニェ夫人手紙抄』(岩波文庫、昭和十八年初版刊行。井上究一郎訳)、『旧聞 日本橋』長谷川時雨著(岩波文庫)、『私の食物誌』吉田健一著(中公文庫)『ウェークフィールドの牧師』ゴールドスミス著(岩…