飛翔

日々の随想です

小犬のピピン

小犬のピピン (せかいのどうわシリーズ)

小犬のピピン (せかいのどうわシリーズ)

美しく清らかなものにふれたくなるときってないですか?
そんな本がローズマリ サトクリフの『小犬のピピン
せかいどうわシリーズの中の一冊。

小犬のピピンはチワワ種の犬。
よく実った小麦畑のような色。
物書きの飼い主の女の人はこの小犬にセバスチャンと云う勇敢そうな名前をつけたかったけれど、闇を怖がる小さなこの犬にピピンというなまえをつけた。

女の人はたくさんの犬を飼ったことがあるだけれども、ピピンほど心がかよいあう犬はいなかった。
お互いに支えあった9年間が過ぎ、ピピンは病気で死んでしまった。

ピピンは大好きだったりんごの木の下に埋められた。
女の人は自分がしなければならないことはピピンが帰って来る道をあけておいてやることだと考えるようになった。
一方、ピピン天国の門を入りたくない。マミーのところへ帰りたいと思う。
天使は規則違反をちょっとまげてピピンがもう一度マミーのところへ帰る道をあけてやる。それはピピンがもっとも怖い闇のトンネルのむこうにあった。

マミーはピピンが帰る道のために手を尽くし、一方ピピンも・・・

こんな風に小犬と飼い主の愛情物語に涙がこぼれ、ほっと救いを見、愛というものの姿をみつけたぬくみにまた涙ぐむのだった。

読後、天に召された愛犬クッキーに想いを馳せて涙ぐむのだった。
読み終わってささくれた昨日きょうの出来事から抜け出て優しいかぜが心を撫でていくのを感じた。
この作品に多弁は無用だろう。
読後の感動をじっくりと心の中に温めていたい。

作者のローズマリ・サトクリフさん、やさしいあなたの心をありがとう。
愛すべき小犬のピピンは私の心にもずっと生き続けます。