飛翔

日々の随想です

下駄に小さな先客が

昨日と今日と、気温は上がり夏日となった。今日は29度。半そで姿になった。こんな日はこんなものが飲みたくなる。
 来月締め切りの原稿を二本仕上げ、来週締め切りの原稿を4本、仕上げてへたばった。こんな日はおいしいものを食べるにかぎる。名古屋まで車を飛ばして、いつもひいきにしているすし屋へ繰り出した。
 開店早々のすし屋でたらふく食べて、やっと元気になった。
 原稿書きが済んだので、やっと本を読む時間ができた。読みたい本が机の上に山積みされている。 
 頭が疲れているときは気持ちがすがすがしくなる詩の本を読みたくなる。

 信州に一人の詩人は生まれた。名は鈴木敏史さん。
 成人してからほとんど病魔との闘いだった鈴木さん。実に五十四年もの闘病生活だった。その中で美しい詩を紡いできた。その詩の数々を編んでなくなったお母様の一周忌に供えようと刊行したのが私家版『少年詩集 星の美しい村』二千数百部。
 この詩集は評判を呼び、そのご増刷し、教育出版センターから再販されたのだった。
 その後この心まで清らかになるような詩の数々は教科書に採録されることとなった。昭和五十二年から平成三年まで。
 その中でも詩集の題になっている「星の美しい村」は遠い昔、諏訪の夜空で見たあの星たちを思い出す。

星の美しい村
星の美しい村でした
手をさしあげて
静かにふれば
星くずが 雪のように
舞いおりてくるかと思われる村でした

いとこに連れられて
村まつりにいく 道すがら
わたしは なんども立ち止まって
星空を見あげたことでしょう

(「星の美しい村」より抜粋)



手紙

ゆうびんやさんが こない日でも
あなたに とどけられる
手紙はあるのです

ゆっくり 過ぎる
雲のかげ
庭にまいおりる
たんぽぽの わた毛
おなかをすかした
のらねこの声も
ごみ集めをしている人の
ひたいの汗も・・・

みんな 手紙なのです
読もうとさえすれば
(「手紙」より)

すいっちょ

庭へ でるのは
待ちましょう
下駄に 小さな 先客が
すいっちょ すいっちょ

(「すいっちょ」の一連目抜粋)