飛翔

日々の随想です

蝉の詩

蝉の羽化↓


我が家の東の一角に一本で森を作っているケヤキがある。そのケヤキの土中で何十年と云う眠りから覚めようとしている者たちがいる。それは蝉。
今日はそんな蝉の声を紹介しよう。
大好きな木山捷平の詩である。

蝉の詩

おれはもう十三年地べたの中で暮らしてゐる。
おれの友達は
みみずと
もぐらと
木の根っ子。

地べたの中は真っ暗だ。
真っ暗ではあるが
おれ達は互いに慰めあひ助けあって暮らして来た。

美しい隠忍!

おれ達は不幸ではない。
待ってろ!
おれ達はもうすぐお日様ををがみに出る。

必ず!


(『木山捷平全詩集』木山みさを編 (講談社文芸文庫)より)