飛翔

日々の随想です

神田神保町古書店めぐり案内

 英国の田舎町ヘイ・オン・ワイは世界初の「古書の町」としてつとに有名である。
わが国にも「神田神保町」という「古書の町」があるのを忘れてはいけない。
何百軒と軒をつらね、裏通りにいたる横道にも小さな店がある。

本書は隔月配本で渋い本である。
3月号は「お宝だらけの古書店、昔ながらの喫茶店、文士の通った旨い店、“昔ながら”が残っている神保町」を俳優の大杉漣が案内役として紹介している。
付録は神田神保町古書店全145軒完全ポケットガイドがついている。読書子にとっては永久保存版となりそうな本である。

古本屋の風情がたまらない。
「お宝拝見!古書店めぐり」は壮観の極み。
中には、2006年「文藝春秋」4月号で物議をかもした村上春樹氏の直筆生原稿120万円ほか、芥川龍之介谷崎潤一郎寺山修司司馬遼太郎などの草稿ファイルがある店も紹介。
堀口大學の訳稿をみつけたけれど、ページの間に埋もれて値段がみえない。
う〜ん、みてみたいものだ。

また文士たち(高村光太郎池波正太郎江戸川乱歩山口瞳、団一雄など)が愛した美味しい店は、作家とのエピソードも紹介されていて面白い。
週末はこの界隈の古本屋めぐりをし、文士の愛した旨い店で食事をし、喫茶店でこだわりのおいしいコーヒーを飲むなんていうのはおつなもの。

この本を片手に神田神保町古書店めぐりをする週末は読書子にとって極上の週末の過ごし方となろう。