飛翔

日々の随想です

林哲夫さん絵画展


ジェイアール名古屋高島屋10階美術画廊で「ストーリーテラーズ 小説と絵画展」が開催されている。今日は最終日。憧れの人林哲夫さんの絵がお目当て。この絵画展は小説をベースに、著名、実力派、新進気鋭の若手など多数の作家によって描かれた新作絵画を展示する合同展。林哲夫さんは堀江敏幸の『おぱらばん』を選び、そこからイメージするものを描いたようだが、実際はパリの想い出からイメージするものと言って良いかもしれない。
 ユトリロの白を思い浮かべる生成りの色を背景にバゲットと柄のついた石炭ストーブにくべるシャベルのようなもの。この二点。堀江敏幸の描く登場人物は背景がフランスであるのに対して常に移民たち、ディアスポラ状況にあるものたちであるとことろがこの著者の特徴である。ひとひねりもふたひねりもした堀江ワールドを絵にするのは相当難しいと思ったが、林哲夫さんの手にかかったら、見事なまでにパリだった。額縁がシンプルな黒。もしかしたら額縁も林哲夫さんの作製かもしれない。まったくにくいまでのお洒落な味わいだ。三回見て帰ってきた。