飛翔

日々の随想です

75セントのブルース


黒人詩人Langston Hughes (ラングストン・ヒューズ)はこんな詩を詠っている
 「75セントのブルース」
どっかへ 走っていく 汽車の
七十五セント ぶんの 切符を くだせい
ね どっかへ 走っていく 汽車の
七十五セント ぶんの 切符を くだせい ってんだ
どこへいくか なんて 知っちゃあ いねえ
ただもう こっちから はなれてくんだ。
・ ・・・・・・

木島始訳)Collected Poems of Langston Hughes (ラングストン・ヒューズ詩集) (思潮社海外詩シリーズから)
彼は列車の詩を沢山書いた。その中の一つが上の「75セントのブルース」。
阻害された黒人のやるせない気持ちを詩にのせて。「75セント」しか持っていないとしたら、それでいけるところまで行けばいいさ。それが旅だちっていうもの。
一方、日本国内に眼を向けるとあの啄木は旅をこんな風に詠った。
名のみ知りて縁もゆかりもなき土地の宿屋安けし我が家のごと
今夜こそ思ふ存分泣いてみむと泊りし宿屋の茶のぬるさかな

旅には寂寞がつきぬものかな・・・。