今日は朝からぽかぽか陽気。
洗濯物と布団がお日様に干されて庭は満艦飾。
南に面した居間にいると紫外線で日焼けしそう。汗ばむほどの日差しの強さだ。
その反対に食堂は日が当たらないので寒い。昼食は居間に移動して「暑い、暑い」を連発しながら食べた。背中を窓際に向けて温かな日差しを浴び、本を読む。
こんな贅沢はない。最近はすっかり川本三郎のエッセイに夢中になっている。
『あのエッセイこの随筆』(実業之日本社)がすこぶる面白くて付箋を入れて読んでいるうち、付箋だらけになってしまった。
青木玉さんの随筆『こぼれ種』(新潮社00年)の紹介から:
「去年の今頃、台所でよく使う透明な袋にいっぱいの紅葉を貰った。『安部峠の紅葉の色、お届けします。乾いていますから、水に放してお楽しみください』と添え書きがあった。琺瑯びきの大きな洗面器に水を張って浸すと、葉は赤も黄も、中心に緑を残すものも鮮やかな色を取り戻し、器の中の水の動きに連れて、静かに揺れた」
なるほどこういう紅葉の楽しみ方があったのか。
孫引きの孫引きになってしまったが、こういう余韻の残る目の中に鮮やかな色彩が放たれるような随筆を紹介してもらった喜びはたとえようがない。川本三郎の膨大な読書に驚嘆しつつも、そのおこぼれにあずかった一冊であった。
日向ぼっこをしながら味わい深い随筆を読む。こんな至福はない。
・日向ぼこ猫に背中の陽を盗られ