飛翔

日々の随想です

雇用とアンチエイジング


 若いから、老齢だからというくくり方はもうしない方が良い。
 という私も他人から「お若いですね」と言われるとむっとすることが多い。なぜなら、若い人には決して「お若いですね」とは言わないからだ。という心理の裏には年齢を気にしている自分がいる。
 
 そんなことを意識の中に潜めていた時、出会ったのが90歳の女性だった。
 彼女は、自分の命の砂時計が残り少なくなっていることを意識し生きる意欲をなくしていた状態だった。
 それが時間をかけてポツポツと自分語りを始めているうちに、まだ自分にも、社会でできることがあるのではないかと思い始めた。そう思い始めると、命の灯火に勢いがつく。自分の経験を若い人に伝えたいと思うようになり、生き生きとしてきた。

 つまり、人は自分が何かの役に立ちたいという思いがある限りは老いないということだろう。
 60代で定年を迎え、まだまだ若さも元気もあり、磨かれた技能がある人が、一線から退くのは惜しいものだ。若さも活力も技能も知恵もある60代が溢れていて、職につけない若者も居る現代の日本に、海外からの移住者の雇用を増やそうという計画が持ち上がっている。
雇用の問題を安易に海外移住者に負わせる不思議を思う。我が国が、もっと活性化するには老人力を活かすのも、ひとつの方法のように思う。