飛翔

日々の随想です

嫁とらっきょ漬けと梅干し

台風が去り、被害を受けた地域も多かったようでお見舞い申し上げます。
 台風一過と思ったら、また次の台風が来ているという。明日から天気が悪そうだ。
 ここの所毎日学校へ行っているが、日曜日も学校へ行くことになっている。なかなか主婦業に専念できないでいる。
 今日は徳島から青梅が届いたので梅酒を漬けようと思っている。クラスメイトの女の子は両親が亡くなって一人住まいをしている。その女の子が梅酒と梅干しが大好きだというので、今年はその子の分の梅酒と梅干しを漬けようと思っている。
 梅干し用の梅は月末に届くことになっている。
 梅酒や梅干し、らっきょ漬けは結婚した時から年中行事になっていた。
 結婚するまで、私は料理も洗濯もしたことがなかった。三男のところに嫁いだので、気楽な新婚生活を送れると思っていたら、結婚草々隣に夫の両親が引っ越してきて、その日以来、私は「嫁」として修行させられることになった。
 「あゝ、結婚!」
 広い土地に植えられた 梅の木から梅をもぐところから始まる。ラッキョウは畑からラッキョを収穫して、茎とひげ根をとる作業をして、塩漬けにし、水にさらし、甘酢に漬ける。
 6月は嫁が忙しい時期だ。梅酒を漬け、梅干しを漬け、ラッキョを漬ける。
 らっきょ漬けは体の芯まで臭くなるから死ぬほど嫌な作業だった。
 今はハミングしながらクラスメイトの女の子の分まで漬けようとしているのだから、自発的と課せられる作業の差は心の中にまで影響する。
 花嫁修業もしないまま、家事のいっさいができないで結婚した私の修行は今思うとよかったのかもしれない。
 結婚して姑の介護をして最期までみとった今、やっとそう思えるまでになったのだから、長い年月が私を鍛えたことになる。
 6月になると「嫁」という文字が浮かんでは消える。そして梅干しとらっきょ漬けを思い出す。