ありのままの自分でいられることほど心地よいものはない。
背伸びすることもなく、大きくも、小さくもなく、等身大の自分。長所も短所もひっくるめて自分であることを認める。
その反対の状態とは何だろうか?
こうでなければ、ああすべきだ、こうすべきだ。などmustと shouldにがんじがらめになると身動きできない。
自分が自分でいられない。ありのままの自分でない。抑圧された、自分でない自分の状態が苦しくて、他の物(者)へと逃避し、苦し紛れに憧れるものが、あたかも自分であるかのような錯覚して、すり替える。
こうした心の働きは苦しい自分を守るための防衛である。これを防衛機制と呼ぶ。
防衛機制にはいくつかあるが、今日はその中の6つの防衛機制の例を説明しようと思う。
「抑圧」
◎自分自身が受け容れられない苦痛な感情や、記憶などを意識から閉め出して、無意識へと押し込むことをいいます。
例:非常につらい体験,心的外傷体験(トラウマ体験)が抑圧の対象となり、思い出そうとしても思い出すのが困難になります。
「同一化・同一視」
◎自分にとって重要な他者と自分を同じとみなすこと。他人の優れた能力や行動を、自分のものであるようにみなすこと。
例:映画や本の主人公と自分を重ねて見る。主人公がピンチになると自分もドキドキする。
例:歌っているアイドルを見て、自分もその歌を歌ってなりきる。好きな芸能人の髪型やファッションを真似る。
例:低学歴にコンプレックスのある親が、子供に高学歴を望み、自分のコンプレックスを解消しようとする。
「投影」
◎自分自身が「抑圧」している思考、感情を、自分でなく相手が持っているように感じること。
例:ケチな人が、相手に対し「あなたはケチですね」などと言う。
例:生意気で嫌いだという人には、その人の中に自分の「生意気」な要素を投影しています。その人に会うと嫌いだとおもうのは、その人の中の自分の嫌な部分を投影していて、それを認めたくないので嫌いな感情が起こるのです。
「否認」
◎苦痛、脅威となる体験や、不安や不快をもたらす出来事を否定すること。
例:大切な人を失った時、それを認めたくないため、そばにいるように思い込む。
「抑制」
◎不安を感じるような物事について意識的に考えないようにしたり、願っても手に入れることが難しいと思われることについて考えることを避けたりすること。
例:高層ビルでここで地震が起きたらどうしようとおもうけれど、そんなことないわよねと思い込む。
「合理化」
◎何かと理由をつけて自分の正当性を説明しようとしたり、満たされなかった欲求に対して適当な理由をつけて正当化しようとすること。
例:。イソップ寓話「すっぱい葡萄」が例として有名。狐は木になる葡萄を取ろうとするが、上の葡萄が届かないため、「届かない位置にあるのはすっぱい葡萄」だと口実をつける。
※「防衛機制」は誰でもがもつ心の安定を図るためのもので、悪いばかりではありません。誰でも日常的に行っていることです。
しかし、行き過ぎると自由を失い、心を歪めることにもなります。
日常でなにか、心につかえたものがあるとき、この防衛機制が活発に働いているのかもしれません。
自分がどんな防衛機制をよく使う傾向にあるのかを知って、自分探しをしてみてください。