飛翔

日々の随想です

冬姫牡丹


 綺麗な花がひっそりと咲く時期となった。
 名まえは西洋風に呼んでも素敵だけれどが、和名はさらに素敵。
 その名もクリスマスローズ
 和名は「冬姫牡丹」

 クリスマスにまつわる思い出はきっと皆さんにもおありでしょう。

 父は家庭的な人では決してなかったのに、なぜかクリスマスは盛大にやりたがる人だった。
 クリスマスの一ヶ月前からクリスマスツリーに自分で飾り付けをして、イルミネーションを点灯して喜んでいた。
 家族のみんなはどうしてあんなに子どもじみたことをするだろうかといぶかしがったものだ。今思うと、家庭に恵まれず、裕福でなかった子ども時代に抱いた、温かな家庭への限りない憧れがクリスマスだったのかもしれない。
 母と結婚してあこがれのクリスマスに咲いた花。それが冬姫牡丹。クリスマスローズだ。
 地味な花なのに可憐で美しい。まるで母のよう。

 人は悲しいとき、さみしいとき、雪月花に心を寄せる。
 物言わぬそれらに自らの心を投影するとき、安らぎをおぼえるからだろう。

 心静かに冬姫牡丹に自らの気持ちを寄せてみたくなった一日だった。