飛翔

日々の随想です

仕合わせ


昨日の冷たい雨とはうって変わって、今日はぽかぽかと暖かい晴天。
 家中の布団を庭に干した。太陽が燦燦とした中、家中の布団が干してある光景は壮観であり、主婦として満ち足りた瞬間でもある。
 そう。「幸せ」というのは何もぎょうぎょうしいものでなく、こうして日常の中でふと感じるなにげないものであろう。
 作り物はどこかうそ臭いものを含む。だから虚構なのである。
 現実の「幸せ」は率直に降りおりてきた感覚から生まれてくるものだ。
 
 河野裕子の歌にこういうのがある:
・しっかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ
河野裕子)(『紅』(平3)所収)

 堂々とした「仕合せ」がここにはある。日常のささやかではあるが、どっかりと地に足をつけた「幸せ」である。
これは時代が移り変わろうと変わらぬ日常の中の「幸せ」である。
平凡なこと、日常のこと、ささやかなことを見過ごさぬよう、繊細に自分も他も見つめてみよう。そこにはきっと今まで気がつかなかった何かがある。

    涸沢小屋での布団干し風景。