飛翔

日々の随想です

コミュニケーション・スキル


結婚は二人だけの結び付きであるけれど、その親類縁者との関係が良好であることも大切です。
 嫁姑問題。義理の兄弟妹の関係。そのつれあいとの関係など。
 しかし、考えてみれば、社会はこうした身近な関係をいかに良好にするかばかりの世界です。
 上司と部下、同僚・友人との関係しかり。いかに人間関係を円滑に進めるかを考えてみたいと思います。

アサーションという言葉をご存知でしょうか。アサーションとはコミュニケーション・スキルの1つです。
 アサーション(assertion)は、主張・断言などと和訳されますが、「(さわやかな)自己表現」のことです。
 ここでコミュニケーションのタイプを大きく3つに分けて考えます。
 その3つとは、1.アグレッシブ(攻撃的)、2.ノンアサーティブ(非主張的)、3.アサーティブ(自分の意見を率直に伝える)です。

1.アグレッシブ(攻撃的)な方法とは、自分のことを中心に考え、相手のことはまったく考えないやり方です。
 例えば、失敗した人に対して、理由や言い分など聞く余地もなく頭ごなしに叱責をするような表現です。相手の気持ちは考慮していないので、相手は不快な思いをします。また、怒鳴ったり威圧的な態度で表現するだけでなく、どんなに優しい口調で言ったとしても、相手に選択の余地のないような状況で頼み事をするなど、巧妙に自分の欲求を押し付けて、相手を操作して自分の思い通りに動かそうとする態度もアグレッシブな方法と言えます。

 2.ノンアサーティブ(非主張的)な方法とは、自分の感情は押し殺して、相手に合わせるようなやり方です。
 例えば、いつも友人に雑用を頼まれて嫌なのに、はっきりと断れずに引き受けてしまう態度のことです。このような態度は一見すると、相手を配慮しているようにも見えますが、自分の気持ちに率直ではなく、相手に対しても率直ではありません。自分の気持ちを抑え続けていると、次第に欲求不満がつのり、相手に対して「譲ってあげた」という恩着せがましい気持ちや、「人の気も知らないで」という恨みがましい気持ちになってしまいます。

3.アサーティブ(自分の意見を率直に伝える)方法とは、自分の気持ちや考えを相手に伝えるが、相手のことも配慮するやり方、自分も相手も大切にしたやり方です。アサーティブな自己表現では攻撃的な方法でも、非主張的な方法でもなく自分の気持ち、考え、信念に対して正直・率直に、また、その場にふさわしい方法で表現します。
 しかし、どんなにアサーティブに表現したとしても、それが相手に受け入れてもらえるとは限りません。お互いが率直な意見を出し合えば、相手の意見に賛同できないことも出てくるでしょう。そのときに、攻撃的に相手を打ち負かしたり、非主張的に相手に合わせたりするのではなく、お互いが歩み寄って一番いい妥協点を探ることがアサーティブなあり方であると言えます。

 ※アサーティブになる第一歩
  どんなときにも攻撃的な方法での表現しかできない人や、非主張的な表現しかできない人もいます。また、友人など気心が知れた人に対してはアサーティブでいられるのに、親や上司など立場が上の人に対してはいつも非主張的になってしまったり、子どもや部下など立場が下の人に対しては攻撃的になってしまうなど、状況によってアサーティブな表現ができない人もいます。
常に攻撃的・非主張的な人も、状況によってそうなってしまう人も、まずは自分がどのようなときにアサーティブでない態度を取ってしまうのかを振り返ってみましょう。そこから、アサーティブになるための第一歩が始まります。