写真はイタリア・ベネチアの仮面カーニバルで撮影したもの。
他人は私に対していろいろな感想を持つ。
「百合子さんは、もしかしたら家庭的な人だったりしてね」
と、言った男性がいた。私はもしかしたら家庭的でない人に見えるのだろう。
実際私は家庭的とはいえない。母のようには到底なれない。手抜き料理に手抜き掃除。昼寝が大好きなぐーたら女房だ。
それでも 外ではいっぱしの口をきくこともある。それだって誰かの受け売りのことが多い。しかし、受け手によっては「論理的な人ね」などと、誤解と錯覚をしてくれることがある。
初めてのデートで、いい格好をしようと、昨今の世相なんぞを知ったかぶりをしてまくしたてた。
「ふんふん」と静かに聞き入っている相手を良いことに、私の話によどみはなく、最後までとうとうと話した。
話し終わったところで、相手の男性がおもむろにこういった。
「今の話、朝日新聞の朝刊に載っていたね」と。
「ぎゃふん」と赤面したのなんのって、大恥かきごろうである。人が悪いと言おうか、最後までいわせておいてそれってないでしょ!自分の大失態を恥じるどころか、相手の失礼な態度におおむくれになった。
二度とデートなんぞはしないぞと思った初デートだった。それから何年たったことだろう。
初デートの失礼な奴はいつのまにか同じ屋根の下に暮らしている。
そして今日は結婚記念日だ。親と暮らした年月よりもはるかに多い年月を初デートの相手と暮らしている。
「縁は異なもの味なもの」だとしみじみ思う。
ここまで書いて、パソコンを終了しようとしたら、夫からサプライズ・プレゼントがあった。
それがこれ↓
シルクの生地にろうけつ染めで描かれた「百合の女王」「カサブランカ」。
夫がろうけつ染めの展示会で見初めた一点もの。本名百合子なので「百合の花」のドレスを探していて偶然個展でみつけたものだそうだ。
世界で一つだけの作品。
可もなく不可もなく過ごしてきたと言いたいところだけれど、山あり谷あり、嫁姑争い、舅姑の介護生活などを経てきた年月を思い返す結婚記念日となった。