飛翔

日々の随想です

生きていくということ

日々老人施設を訪れていると、「命」「生きるということ」について考えさせられる。
 長い人生でいろいろなことに遭遇する。病気や災害、天変地異にあうこともある。昨今では原発による人災にもあう。また戦争などに巻き込まれることもある。そうした災害や病だけでなく、対人関係のストレスで心を病むこともある。
 山あり谷ありの人生をかいくぐってやっと老後を安らかに過ごそうと思っていたら、年金では暮らせない世の中になっていて、憂う暇もなく、今度は認知症になり施設のお世話になることになる。
 長寿日本ではあるが、長生きしたばかりに、近親者がみな亡くなり、自分だけが身よりもなく一人ぽっちになったらどうするか?
 しかも、介護が必要な身体になったとしたら。慣れない施設の暮らしは不安でいっぱいだろう。 孤独と不安。
 なんとかかつての楽しかった出来事を思い出してもらおうとするが、楽しかった過去をさかのぼり、ふと現実の自分の状態を思うとき、深い孤独に立ち返ってしまう。
 真心を込めて寄り添うしかできない自分の無力を思う。
 帰ろうとすると手を合わせて拝むように見送ってくれる。それは今生の別れのようでせつなく後ろ髪を引かれる。