飛翔

日々の随想です

いつまでも捨てられないもの


日が暮れるのが早い。
旅行に行く前に片付けものをしようと思いたったのはよいけれど、納戸(なんど)に入ったまま一日が過ぎた
 とにかく捨てないでとってあるものの山だ。 先ずはこれらを一大決意して捨てねばならない。

 母の手紙が出てきた。もう二度ともらえない手紙だ。読み返して、読み返して、読み返した。
 筆跡を指でなぞって、納戸の中でひっそりと泣いた。
 母から送られてき小包のヒモまでとってあった。母から送られたものは捨てられなかったのだ。
 たとえ、それが小包のヒモでもだ。 母が小包を作りながら、このヒモで縛ったのだと思って捨てられなかったのだ。
 宅急便が便利になり、田舎からいびつなかたちの小包が届くことは少なくなった。
親から送られたものの紐まで取っておく人も少ないだろう。
母が亡くなって久しい。もうこのヒモも処分してしまおうか。
母が私の身を案じたその心まで捨ててしまうようで、捨てられない。

 断捨離が叫ばれるが、いつまでも捨てられないものはある。