飛翔

日々の随想です

一枚だけ残った薔薇の花びら

汗ばむ陽気になって紫外線がつよくなってきた。

英国にいた頃、友人たちとお茶を飲みに行った帰り、Body Shopに立ち寄ることが多かった。香りの良い石鹸やボディー・ローション、オイルなどが美しく陳列されていてオイルなどは好きな香りのオイルを調合してくれたりして楽しかったものだ。
今日はスーパーの大型店にあるBody Shop売り場で爽やかな香りのソープと、香りがおそろいのボディーローションを買った。

これから暑くなるにつれ、きつい匂いの香水は敬遠したくなる。
爽やかな石鹸の香りやシャンプーのにおいがすると思わずふりかえってみたくなる。

英国で病人のお見舞いに行くのに何が良いかしらとステイ先のママに聞くと「石鹸をあげるといいわよ」と言われた。日本ではお祝いのお返しなどに石鹸の詰め合わせをあげたりするけれど、お見舞いに「石鹸」とは良い考えだと思った。
香りといえば驚いたことがあった。お世話になった先生にクラス全員で何かをプレゼントしようと云うことになって「ボディーローション」になったときはさすがの私も驚いた。しかも男の先生に。ネクタイとかマグカップとか考えていた私は面食らった。
日本の高校で卒業のとき生徒にボディーローションをもらったら、きっとその男性教師は「俺って加齢臭かな?」と気にしそうである。
そういえばスイスから来た留学生の友人から最後に手渡されたものも石鹸だった。それはそれは綺麗な色の石鹸だった。
石鹸をあげることに特別な意味があるのだろうか?さすがにそれを尋ねることはできなかった。お互い目に一杯涙がたまってハグして別れたのだった。

石鹸といえば、野山に行くと夫は「お〜い、●●ちゃんの木があるよ」と叫ぶ。みんなが振り返ってどんな木か見るとそれは「エゴ」の木だ。まるで私が「エゴイスト」だと言わんばかりのしわざだ。
私は赤の他人のような顔をしてさっさとそこを去る。
この「エゴの木」はまたの名を「石鹸の木」とも呼ばれる。
エゴの木の実は小さな白い実だ。これを手にとってつぶすようにゴシゴシ両手でこするとあ〜〜ら不思議、ぶくぶく泡がたって石鹸のようになる。実際綺麗に洗浄される。
最後に私の好きな詩人まど・みちおさんのせっけんの詩を紹介しよう。

  せっけん

 こんなに
 ちいさく なった
 おふろばの
 せっけん
 うちじゅうの
 みんなの こころに
 やさしく
 ちりしいて

 一まいだけ
 のこった
 バラの
 はなびらのようだ