飛翔

日々の随想です

あのねママ


ママ

                      田中大輔

あのねママ
ボクどうして生まれてきたのかしってる?
ボクね ママにあいたくて
うまれてきたんだよ

(『あなたにあいたくて生まれてきた詩』宗左近 新潮社より)
※この作品『ママ』は三歳の大輔くんが話しかけてきた言葉を、母親が書きとめたものです。
人の子の親となってこんな言葉を子どもが言ってくれたらこんなに嬉しいことはないですよね。
こんな愛の言葉はほかにどこをさがしてもみつかりません。

私の母は子供の頃から私を「お母さんの宝物」と言ってくれました。
私はこの言葉を生涯の宝物としています。
やはり愛情の言葉は惜しみなくしかもまっすぐに伝えたいものです。
人生でくじけそうになったとき,たった一つの言葉が支えになってくれるものです。
この詩は地球を支えるぐらいの力強さで「ママ」を支えてくれます。
そして次の歌は今度はママから三歳の息子のエールに応える歌。

三歳の「世界で一番大好き」をわが盾として職場に向かえ

愛それは閉まる間際の保育所へ腕を広げて駆け出すこころ(松村由利子第一歌集『薄荷色の朝に』(短歌研究社から))

そうです。働くママだって一日中愛するわが子と過ごしたいのだけれど、その心にムチを打って職場に向かうのです。
こんな最愛の息子からのエールは世界最強の盾にちがいありません。
思わず作者にがんばれ!と言いたくなった歌。多くの働くお母さんの共感と涙を誘った名歌です。
この歌は次の代になっても長く歌い継がれる名歌です。

※この詩の三歳の坊やも、松村由利子さんの歌の坊やも、きっと今は青年になっていることでしょう。
「あなた」の「存在」とその「言葉」は
地球を支えるぐらいの力強さで
「ママ」を支えてくれたのです