飛翔

日々の随想です

ひと夏の体験


愛知県地方夕方から突然の雷鳴とともに、空がにわかにかき曇り、大粒の雨が大地を叩きつけるように降ってきた。広島地方は大変な豪雨で地すべりや浸水で大変な被害が起きている。他の地域も被災されたところが多い。心からお見舞い申し上げたい。

  この夏を振り返ると、劇的なことばかり起きた夏だった。
 先ずはエッセーコンクールに入賞し賞金30万円をいただくという初体験をした。数年前、くも膜下出血をし緊急手術をして一命を取り留めた時、夫から差し入れられた「キュウリの糠漬け」の話を書いたものだ。
 そして次は70各国の外国人が集まる国際会議の通訳を一週間したこと。大変な緊張を強いられたけれど、素晴らしいエピソードに彩られ、最高の体験が出来た。

 そして最後は、市の「がん検診」を受け、3つの臓器にガンを疑われ、要精密検査の告知を受けたことだ。
 一つでも真っ青なのに、三つの臓器とは世も末である。今はどこの大病院でも主治医の紹介状がないと診察してもらえない。
 紹介状を携えて三つの病院をめぐる暑い夏は酷いものだった。
 痛い思いをして検査をし、その結果を待つ間のストレスたるや「死刑囚」が「その日」を告げる看守の足音に耳を凝らすようなものだった。結果は完全なるシロだった!
 がんセンターの医師や市民病院の医師は「なぜ要精密検査と言われたのだろうか?」
 と問われるようなものだった。「疑わしきは告知せよ」にしても、「白を黒」と告知されたものにとっては最悪である。
白と言われて心底嬉しかった。日頃の不摂生や食事管理をしみじみ反省させられたのは怪我の功名である。

 しかし!あまりにもストレスが強かった。突発性難聴になってしまったからだ!右耳が聞こえない!
 テレビの音が突然聞こえなくなって愕然とした。
 すぐ医者に行けばよかったけれど、二三日後に耳鼻科に行った。突発性難聴は「難病指定」だとか。
 72時間以内に医者にかかれば良くなる場合があるとか。かろうじて72時間内に医者にかかった私はステロイド点滴を受けるようになった。
 最悪の場合は入院して点滴治療が必要と言われたが、服用と点滴を続けて、医者もびっくりするぐらい、翌日から完全ではないけれど、聞こえるようになった。奇跡だ!
 
 ことほど左様に、ストレスは人間に様々な病気を引き起こさせる。気がつかないうちにストレスが肉体を蝕むことがある。
 良い体験、悪い体験。このひと夏で5歳ぐらい年をとったような気がするのと同時に、「今、ここ」を大切にすることを今一度肝に銘じた夏だった。