飛翔

日々の随想です

蝋梅の花

夜寒い中、夫とウオーキングを楽しんでいるとふとどこからかなんともいえない香りが鼻先をかすめた。
夜のことゆえ目をこらすまえに鼻を頼りに香りの元をさがす。すると夜目にも麗しき黄色い輝き。
蝋梅(ろうばい)の花だ。
 名前のとおり蝋細工のような小さな黄色い花が枝いっぱいについている。
しかも、その香りたるや馥郁(ふくいく)としてあたりの空気を気高(けだか)くしている。
 そう言えば我が家の庭の梅もつぼみをつけはじめた。もうあと二週間もすると如月、立春である。

    ( 梅の花を折りて人におくりける)
  ・君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる
                 紀 友則(古今和歌集

  あなたでなければ誰にみせたらいいのかしら。この梅の花の、色にせよ香りにせよ、ものの美しさを解するあなただけわかっていただけるのです。

現代短歌も良いけれど、たまには古今和歌集をひもとくのも趣があるというもの。
誰かに何かを贈るとき、こんなひと言をそえるともらったほうもちょっとばかり心をくすぐられる。