飛翔

日々の随想です

好き?嫌い?

 
木陰で一人の男性が座っているのを、窓から夫と眺めていたときのことです。
 夫は「気持ちよさそうだね」と言い、私は「何か悩んでいそうに見えるわ」と思わず言って、二人で顔を見合わせてしまいました。
 同じ光景を見ているのに、とらえ方が違っているのです。

 これは心の中のものを外に映し出してものを見ているからです。これを「投影」といいます。
 夫はのどかな気分で外を見ていたのでその心が投影されたのです。私はといえば、外を見るときはいつも何か悩んでいるときなので、つい、その心が投影されて「何か悩んでいそう」と思ってしまったのです。
  
 日頃、人と対するとき、嫌いだと思う人がいますよね。
 それは自分の中の「嫌いなもの」が相手に投影されていることがあります。
 Aさんは「Bさんが嫌い」と思っていたとします。これはAさんの中にあった「嫌い」という感情がBさんを通して外に現れたとみることができます。
 
 この投影の心理を日常の対人関係に応用するのもいいですね。
 どんなふうにかって?

 例えば、あの上司が苦手とか、あいつは嫌いと思ったとき、ちょっと「投影」を思い出してください。
 どんなところが嫌いなのか?「すぐかっとするところ」「権威を鼻にかける」「高圧的」などなど。
 自分の中にそんな傾向がないか、あるいは、そんな態度をされて傷ついた体験がないか。
  
 意味もなく、誰かに嫌らわれているんじゃないか思ったときなど、投影を思い出すと、自分が相手を嫌っていて、相手は何も思っていないことが判明したりします。