誰にも触れられたくない事はあるものだ。
何気なく人が口に出すとき、私もなにげなさを装って笑ったりする。
しかし、それからそのことがヒタヒタとインベーダーのように心の中に侵食してきて私を悲しめる。
一年たったある日。またその人たちと合わなければならないことがあった。
もう立ち直った私は明るくその集まりに出かけようと思っていた。夫が
「今日断ってきたよ」と突然私に無断で決めてきた。
「え?なんで?」
「だって行きたくなさそうだったからさ」と夫。
私の心の奥底など夫が知るよしもないと思っていた。
「僕は鈍感力だったら誰にも負けないよ」といつも言っている夫。
「そう」
私はボソッと言って自分の部屋へ入った。あかりもつけずに椅子に座った。
・・・・・
鈍感だなんて・・・うそ!