夜中に蚊に刺されて目が覚めた。にっくき蚊め!!!
去年の古くなった蚊取り線香を取り出して夜中にいぶし始めた。こうこうと電気をつけて蚊の動きを見張るも姿なし。蚊もいぶされるが、人間も喉をいぶされてかちかち山の狸のようになった。
そういえば昨日のホームセンターの広告に蚊帳(かや)が出ていたと思い出した。
子供の頃は蚊帳を吊って寝ていた。あの青臭いようなにおいとざらざらした感触、別世界にいるようなわくわく感が夏の到来を告げていて好きだった。
蚊帳にまつわる話と俳句をあげてみよう。
正岡子規は四国松山藩の下級氏族、秋山好古(よしふる)・秋山真之(さねゆき)兄弟と知友となった。秋山真之と正岡子規は、苦学の末東京大学の前身「大学予備門」に進み、同じ下宿に住まい文学論を戦わせるようになった。アメリカ留学する秋山真之を想って詠んだ句
・君を送りて 思ふことあり 蚊帳に泣く 子規
蚊帳の中で友が旅立つのを羨ましくそしてさみしく思ってしのびなく子規の姿が目に浮かぶ。
蚊帳と言えば、もうひとり小林一茶の句がある:
・新しき蚊屋に寝るなり江戸の馬
これは驚いた。
馬に蚊帳をつってやったのだろうか?馬にまで蚊帳をつってやるほどゆとりがあるんだぞとみせたがる江戸っこのみえなのか?