飛翔

日々の随想です

松の内


 正月はいつまでかというと「松の内」という言葉がある。
松の内」というのはお正月の「松飾り」をつけておく期間をいい、最近では1月の7日までのことをいうようだ。
年賀状も15日まではOKなのだが、喪中の時に出す寒中見舞いが6日から。
この「松の内」はまだお正月気分が残っているので、いつもはジーンズの私もお年始の客もいるので、和服に薄化粧をしている。


(貝に入れて使った紅(べに))

さて、明治時代、この「松の内」の女性のみだしなみはどんな風だったかを詠った句がある。正岡子規はこんな風な一句を残している。

口紅や四十の顔も松の内 (子規)

 
四十代の女性も年があらたまって松の内となれば、一つは儀式から、一つは身だしなみから、薄化粧をし、口紅もつけてちゃんとしている様子を詠んだのである。
 正岡子規と言う人は病床六尺の中にいても、きちんと世の中の普通の儀式や身だしなみなどを軽んぜずに詠む。そんな心意気のようなものが現れている一句だ。

 司馬遼太郎の『坂の上の雲』がNHKで放映された。正岡子規役の香川照之が写真の子規にそっくりで驚いたが、好演していた。病床に伏す役つくりの為17kgもやせたという熱演振り。「俳句は写生や!」と映像の中で叫んでいたが、上の句にもあるように瑣末な日常を捕らえて詠む、それが現れているように思う。
 さて、お正月の三が日が暮れ、仕事始めの方、気持ちも新たにお励みください。
皆さん!今年も元気でがんばりましょう!