飛翔

日々の随想です

落ち椿


わが家の庭には「侘び助」椿が咲いている。侘び助の色は白。
しかし赤い椿に接木したのか根元から親木である赤い椿も咲いている。
つまり一本の椿の木に赤と白の椿が咲いているというなかなか味わいある風情をかもしているのだ。
玄関の前には赤いやぶ椿が咲き乱れ、落花が地面を赤いじゅうたんのように染めている。
白い椿、赤い椿が散り落ちて地面を染めている様子は日ごろ土で覆われている裏方を一瞬にして表舞台の主役の座にしてしまう。
櫻が川面に散ってそれが筏のように川下に流れていく様子は「花いかだ」と風流な表現になるが地面を赤や 白のじゅうたんにしている椿の花はそのぼってりとした質感によって官能的である。

この官能的でさえある落ち椿を詠んだ俳人がいる。
河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)である。
その句をみて見よう。

赤い椿白い椿と落ちにけり

河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)高浜虚子と並び称される正岡子規の門弟だった。
この作品はみたままをあらわしているが色彩的に印象的な句である。