飛翔

日々の随想です

警策(きょうさく)をいただく

最近寒いせいで(寒くなくてもだが)手抜き料理が多い。
 夕食の支度に取り掛かろうとしたら、夫がたまには手抜きでないものが食べたいと言い出した。
 めったに文句を言わない人なので、よほど手抜きに腹が立ったのだろ。
 ご馳走でなくていいから、ごく普通のさっぱりとしたものが食べたいとのこと。
 近県から買いに来るほど評判の良いはんぺん屋が作った「いわしはんぺん」を焼いて、からしを効かせたポテトサラダに甘味がギュッと詰まった小粒のトマトを添えたもの、生揚げの甘辛煮オクラ添え、レンコンと人参のきんぴら、ほうれん草の胡麻和え、豆腐の味噌汁、など普段食べるようなものを作った。

 好物のいわしはんぺんを肴に吟醸酒の晩酌をして少し機嫌が良くなった夫。三月の卒業式まで、まだ学校へ行く用事が頻繁にある。やっつけ仕事のような家事をしていては、申し訳ない。家中を掃除し、拭き掃除をし、玄関に打ち水をすると家中の空気が清められたようになる。
 庭の紅梅をひと枝とってきて、壷にいけた。凛とした佇まいと気品に満ちた香りが清い。
 座禅を組んでいるとき僧侶に打たれる棒「警策(きょうさく)」を頂いた時のように、梅の清さに精神が打たれたような気がした。

    西宮市産所町 順心寺