今年は良いことがたくさんあった。
中でもエッセイコンテストで大賞を頂いたことが一番嬉しいことであった。
身近な夫が一番喜んでくれ、授賞式にまで同伴してくれた。
その大賞を頂いたときの人々の心模様を書いてみよう。
全国紙の一ページ全面を割いて受賞作品が載った日のことだった。
疎遠な関係だった夫の兄弟の家族が偶然、その全国紙を読んで、電話をくれた。
兄嫁が最初に発見して電話をくれた。素直な祝いの言葉を聞いて嬉しくて鼻の奥がつんとしてしまった。
疎遠だった距離が一気に近くなった。
川崎にいる小学校時代の親友は掲載されている新聞を買いに車を走らせてくれた。
旅で知り合って以来、ずっと仲良くしてもらっている方からは胡蝶蘭が贈られてきた。
小学校の同級生だった男性はクラス会で一度だけ再会しただけだったが、
奥さんがテレビに出られたとき、突然メールが来て、いま妻がテレビに出ているから見てくれと
あった。早速ビデオに撮って拝見した。
その彼に受賞を知らせると、家からコンビニまで新聞を買いに行くのはバスに乗らないといけないからと
返事があった。
いつも通っている美容院の美容師さんは、その新聞を切り抜いて美容師の詰所に掲示して貼ってくれた。
それを人づてに聞いて、これまた胸がいっぱいになってしまった。
私には内緒でそんなことをしてくれていたなんて、本当に嬉しい。
ブログの友人からは、丁寧な感想を頂いた。
いつも書き込みはないけれど、ブログを見守っていてくださったのだと、嬉しくてしみじみと
感動が胸をよぎった。ただただありがたく、嬉しく、涙がにじむ。
そしてそして、私の実姉について。
彼女に封筒に手紙と一緒に新聞を同封した。
しかし、ナシのつぶて。
両親を亡くし、肉親としてはこの姉だけである。
最も近い距離が宇宙のかなたほど遠い距離に感じられた。
そして、いつもお茶を飲んでいる友人からは掲載されている新聞をぜひ見せてと言われた。
私は喜んでそれを持参して彼女に見せた。
手渡された新聞をぐるっと目を円を描くように顔と一緒に一瞬だけ動かして、
「冊子になったら見せてね」
といい添えて新聞を突っ返してきた。
冊子になるまでもなく、今、そこに記事が手元にあり、3分もあれば読めるエッセイである。
読みたいと言いつつも、彼女は決して読みたくなかったのだと、やっと気がついた。
エッセイコンテストで大賞をとって
子供のように喜んでいた私の心に映った、人の心の動きだった。