飛翔

日々の随想です

サンフランシスコ・セイブルック大学研修(一日目)


 サンフランシスコ・セイブルック大学研修に際して30人が投宿したのはこのヒルトンホテル


 徒歩で15分ぐらいのところにあるセイブルック大学の受付。


 実存主義心理学の世界的権威、カーク・シュナイダー博士と通訳のYumiさん。


 数人が博士を囲んで「ハイ、チーズ」

 さていよいよ講義の始まりです。
 第一日目は実存主義心理学の権威・カーク・シュナイダー博士の講義です。

 まずは「実存主義とはどのようなものなのか」というレクチャーからの始まりでした。
 「夜と霧」の著書で知られるV・E・フランクルユダヤ人の精神医学者です。フランクルは妻とともに、今まで持っていた財産全てを没収され、ナチの強制収容所に送られました。
 収容所の中で極限状態にあっても、収容所の窓から差し込む日の光の美しさを仲間と分かち合い、他人に対して、優しい言葉をかけあった体験をしました。このことは、どんなに過酷な運命がその人に与えられても、人間はその運命に対してどのような態度をとるかという意志の自由が与えられ、人間自身が高貴な存在であることを自らの体験を通して、証明したのでした。

 その結果、フランクルは、「夜と霧」作戦の体験から、実存主義心理学の考え方を見出したのです。
 
 さて、カーク・シュナイダー博士はフランクルの話からご自身の子供の頃のエピソードを話はじめました。
 具体的な実存主義心理学セラピーのレクチャーです。
 博士が3歳の時に兄を亡くし、はじめてセラピストにかかったことなど・・。セラピストは幼い博士の心の痛みをとったわけでなく、痛みとともに生きていくことを一緒にしてきたのです。

 その体験から博士が学んだものとは:
 「実存主義は自分を直視することからはじまり、暗闇の暗さに気づくこと」
 底がないという状況はこれから変わる可能性を持っているから、自由である、開放感を得られることを意味する。
 言い換えると「夜明け前の暗闇が一番暗い」のだということ。
 The darkest hour is always just before the dawn.

 実際には、いかにクライエントが自身の体験を深め、深淵をのぞき、そこで起きたことに気づき、そしてそれを受け入れていくかが大切なことであり、自分の存在は現実とは切り離せないものであることを気付くことが大切であること。
 「夜明け前の暗闇が一番暗い」と信ずること。
 
 この言葉は大変重く、フランクルがどんなに過酷な収容所の中でも、人間自信が高貴な存在であることを実感したように、クライエントに対して深い尊重と信頼に根ざしていることが理解でき感動でした。

 後半は手を挙げた人とのオープンセッションです。
 みんなかたずを飲んでセッションを見守りました。
 セッションが終わるとディスカッション。みんなの心に去来するものが部屋全体を囲むように漂うのを感じました。
 憧れのシュナイダー博士の講義とセッションをこの目で見、体感し、全身に落とし込む作業は刺激的で身が震えるような感動を覚えました。この感動を咀嚼し、血となり肉とするにはまだ時間がかかりそうですが、セラピストとして活動するうえで必ず良いものをもたらせてくれそうです。いえ、良いものにしたいと思います。
 
 こうして一日目は感動とともに終了しました。ホテルに帰って夜の2時までルームメイトとディスカッションし、互の感動を共有し合いました。
 (明日に続く)