飛翔

日々の随想です

セイブルック大学研修(箱庭療法二日目)

 箱庭療法二日目は一日目の感想を発表し気づきや思いや自分の心の中を開示したり、クラス全員でシェアすることからはじまった。
 チャールズ博士は、実は数年前ガンを患い手術、転移と体調が悪い中、時には咳をしながらも、笑顔を絶やすことなく、最高のレクチャーとワークをしてくださった。
 箱庭療法の面白さ、自分の心の中の世界の具現化に一同驚きと興奮と気づきとが、まじりあって、発言は積極果敢になった。その様子をチャールズ先生は静かにお聞きになり、言葉をかけ、説明することで深まっていくのだった。

 この日は箱庭のセッションとフィードバックに終始し、一同夢中になって箱庭ワークに没頭した。
 同じ人間が箱庭を今日も作るのだが、そこに現れた心模様は昨日とは全く違うものが展開されていて、箱庭の魅力、人間の心模様のその日、その日、一瞬一瞬の変化が見て取れて本当に面白かった。

 昨日作った私の箱庭と今日作った私の箱庭とを見比べてみようと思う。
 
 これは私が作った第一回目の箱庭です。


 翌日作った私の箱庭です。
 同じ人が作っても、違う日に作ったものはその日の心なのでまったく違うものができる。
 さあ、どうだろうう!同じ人間が作ったのに、昨日と今日とでは別の雰囲気であることがみてとれませんか?

 昨日作った私の箱庭は「私の人生模様」だった。無意識に選び、並べたオブジェなのに、箱庭に展開されたのは私の歩いてきた人生が現れていた。しかも、誰にも隠していた私の心のトゲまでがそこに置かれていてわれながら驚いた。しかも、これを作り終えて、初めて私は自分の心の奥に隠していた憎しみや恨みのようなものの正体を目で見ることができた。それは今まで隠して憎悪していたものなのに、自分の人生になくてはならない存在だったことがわかった瞬間涙が溢れそうになった。
 潜在意識、無意識の具現化の瞬間です。
 
 さて二日目に作った箱庭は
 
です。
 1、まず初めにしたことは、箱庭の砂を右上の方に高く寄せて小高い丘を作りました。
 2、次は、棚からカエルのオブジェを取ってきました。カエルを丘の八合目に置き、ギターを脇に。
 3、笛を吹いているおじさんを左に置き、黒人の親子を右横に置きました。
 4、左にラッパを抱えた少年を置き、丘の頂上に鳩を置きました。
 5、笛を吹いている男性の横には時計を、下には霊芝(長寿をあらわすきのこ)を置き、花と緑で周囲を囲みました。
 6右横に狼を置きました
 7、花と花のあいだに小さな小箱を置き、真ん中に下を向いた羊を置き完成です。

 カエルのオブジェは私を表しています。二日目はとてもリラックスした気分だったので、のんきに構えた私を表現したかったのです。寝そべってくつろいでいるカエルを丘の八合目に置きました。
 八合目においたのがポイントです。頂上でなく、八合目でなければならないのです。それはまだ自分が未完成であることを示し、ある意味で「胸突き八丁」のところにいることも表しています。
 ボランテイアで「出前コンサート」をしているので、自分のそばに楽器を演奏する人間を表したかったのです。黒人の親子はボランテイアで外国人に日本語を教えているので、彼らを表しています。

 この箱庭は今の私の状態です。
 丘の八合目、まだまだ頂上にいない私。小箱には私の心が詰まっている。この心の小箱を開けて全てを開示すると音楽が聞こえ平和な気持ちになる。心をオープンにすれば異国人でも邪悪(狼)なものでもあるがままを受け入れることができ認めることができる。
 でも一つだけ、羊だけは下から私を見つめている。これは浮かれている私に忠告してくれる存在。

 そんな箱庭が完成しました。
 一日目は私の歩いてきた全人生を箱庭に表し、二日目は今の私の状態を表している箱庭ができました。
 無意識にオブジェを選び、勝手にどんどん箱庭にオブジェを置いていっただけなのに、そこには私の人生模様や、今の心の状態が映し出されているのですから驚きです。
箱庭を作っているあいだは無我夢中で子供のようになっていて、作り終えてみると不思議な安らぎと癒しでいっぱいになった。
 小さな箱庭の中に自分の心が具現化され、それを言葉にし、癒されていく箱庭療法の魅力を多くの人(クライエントさん)に体験してもらいたいと思う。この気持ちをお土産に持って帰りたい。

 箱庭療法の不思議さ、無意識が具現化していく瞬間に立ち会った驚きでわれながら感動とワクワク感でいっぱいになりました。

 最後はそれぞれお気に入りのオブジェを大きな箱庭に一つ入れ、その前にローソクを立て、火をともしていく。
 参加者全員の心のともしびが赤くゆらめいて感動・感動・感動。
 チャールズ先生の素敵な思いやりと、病をおして素晴らしい講義とワークをしてくださったことに一同深い感謝を捧げ拍手。