日本人というのは本当に四季を愛でる国民だと思う。
春にはお花見をし、夏には蛍を追い、秋には紅葉狩りをし、冬は雪を愛でる。
それだけでなく、神様にまで四季を司る神がいると信じられている。四季を司(つかさど)るのは女神様だ。
春を運んでくるのは佐保姫様、
夏は筒姫様、
秋は竜田姫様、
冬は宇津田(うつた)姫様である。
美しい姫君が四季を運んでくるというのはなんともみやびやかな気持ちになる。
朝起きてみたら一面雪だという日はきっと宇津田姫様のしわざであろう。
四季を愛でる日本人は住まいにも風流なしつらいをほどこすのである。それは「雪見障子」である。和室に座って部屋の中から雪見障子越しに外の雪景色を愛でるのだ。障子の枠が額縁の役割をしてそれは一幅の日本画をみるようだ。
今日から11月。紅葉狩りに出かける人も多いことだろう。
この紅葉もあっというまに散ってしまう。その散ってしまうまでの限りあるの美を愛でてやろうとする心が美しい。
紅葉はかぎり知られず散り来ればわがおもひ梢(うれ)のごとく維(ほそ)しも(前川佐美雄)
(紅葉の季節は終わった。落ち葉は次々と散って積もっていく。梢を見上げれば枝だけとなっている。私は身にまとっていたものをすっかりなくした梢のように頼りない存在なのだ)
折節の風景に人生を重ねる人が多いけれど、この季節は落葉にものを想う人が多い。思いの丈を言いたいとき、あなたは誰にいいますか?友達?家族?
その誰でもないとき、カウンセラーの扉をあけてみるのもいいかもしれません。