飛翔

日々の随想です

お茶漬けは正式な食事?


行儀が悪い食べ方といえば、ご飯をかっこんで(かきこんで)食べる食べ方だ。
どんぶり飯はたいがい,かっ込んで食べる。お上品にお箸でご飯粒を一つ一つつまんでたべるよりは,かっこんで「はふはふ」「ほーほー」「ほふほふ」ゆわせて食べるに限る。
もう下品も上品もない。そんな食べ方の人の顔をみると「はふはふ」も「ほーほー」」も「ほふほふ」もみ〜んな口をとんがらせて実においしそうな顔つきをしている。
でもひとさまにおだしできないご飯は何と言っても「にゃんにゃんご飯」と「お茶漬け」だろう。
「わたくし、そんな「にゃんやんごはん」なんって存じませんわ」と言う人ほど家に帰ったらパジャマ姿で味噌汁をごはんに流し込んで「にゃンにゃンご飯」を召し上がったり、ご飯にお茶をかけて「お茶漬け」を召し上がるものだ。
でもこのお下品だとおもわれる「お茶漬け」の食べ方、実は懐石料理の最後に食べる正式な食べ方だと知っているひとは案外いないだろう。
一、お茶事で出される懐石料理では最後に一口だけご飯を残しておく。
二、次に香の物を向こう付けにとる。
三、湯次(蕎麦屋で蕎麦湯の器として出されるもの)のふたをとって湯の子すくい(ちいさなひしゃく)で湯の子(いり米)をすくって、飯椀にいれる。
四、湯次から飯椀、汁椀、に湯を注ぐ。
五、残しておいたご飯を湯漬けにして香の物で器を洗うようにして食べる。

こうして湯漬けを食べた後は猫もびっくりするぐらい飯椀、汁椀は綺麗になっているというわけです。
お茶事ではこうして綺麗になった器をめいめいが懐紙でさらに一つ一つ拭いて清めてお返しするのです。
ついでながらここで難問一つ。
お茶事の席ではこの香の物を音をさせないで食べるのがよしとされています。
早い話が「たくわん」をぼりぼり、ぱりぱりと音をさせないで食べろというわけ。
一休さんじゃああるまいし、音をさせないでたくわんを食べるなんて飲み込むしかないじゃないかあ〜と思うでしょ?
そこがほれ!お茶の世界。思いやりがあふれている世界なんざんすよ。
実はタクワンを供するときはあらかじめ隠し包丁をいれておくんです。
つまりタクワンをたべやすいように、口の中でぼりぼりしないですむように細かく切れ目を入れておくんです。
これはご家庭でお年寄りにお漬物を出すときに応用なさるときっと喜ばれますよ。
っというわけで、実は「お茶漬け」は正式なお食事だったのでした!