飛翔

日々の随想です

向田づくしの宵

向田邦子全集(3)

向田邦子全集(3)

 図書館でこの古い『向田邦子全集』を何十回借りただろうか?
 文庫本で揃えるのが待てなくて図書館で一冊5cmはあろうかという厚さの全集を借りては読んでをくりかえしている。
 今日はとうとう蔵書としてもっていたくなり、本屋で新刊の『向田邦子全集10』エッセイ(女の人差し指)(文藝者秋)を買ってしまった。

 ほとんど名人と言われるエッセイの達人だった向田邦子の文に魅せられて久しい。
 その向田邦子が惚れたという(恋愛感情でなく)だけで野呂邦暢にも食指を伸ばした私である。
その結果、かなり野呂邦暢の作品が我が家の本棚に並ぶこととなった。
 『諫早菖蒲日記』『落城記』『草のつるぎ』『一滴の夏』『愛についてのデッサン』『王国そして地図』『小さな町にて』

落城記

落城記

王国そして地図 (1977年)

王国そして地図 (1977年)

愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)

愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)

『小さな町にて』は京都の「善行堂」さんの開店祝いに駆けつけてゲットしたものだ。

今年は随筆を中心に読もうと思っているが、この野呂邦暢の随筆も素晴らしくて、さすが向田邦子がほれただけはあるとおもった。
 やっと蔵書として向田作品が我が本棚に並んだかと思うと嬉しい。勿論文庫本も揃えてある。図書館の本は自分の本でないのでいつかは返さなければならない。返すときがさびしいのだ。そして読み終わって返却棚に返したその手でまた借りてしまう日々だったのだが、今日ついに返却にピリオドを打った。
 今日の夕飯のおかずは「スモークサーモンとたまねぎとグレープフルーツのあえもの」である。勿論、これは向田邦子さんの本『向田邦子の手料理』(講談社)からの一品である。

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理はきどりがなく、冷蔵庫の中にある簡単なものでおいしく手早く出来るものばかり。
向田邦子のエプロン姿が決まっていて、隣のおばさんのようなのが良い。
向田邦子はエッセイの中で「板前志望」だったといっているように、台所で何か作っているのが好きな人だった。原稿用紙の片隅に料理のお品書きを書いては、〆切りに間に合わないいらいらを解消していたとか。
今日は向田づくしですごす宵となりそうだ。