飛翔

日々の随想です

負荷をかけ負荷をかけ人は美しくなる

 
ここのところ、落ちこみ過ぎて、どん底
 気持ちを立て直すために美容院へ出かけた。
 ショートヘアをさらに短く切った。
 「ローマの休日」でヘップバーンが長い髪を切って「自由。自立した人間」としての象徴としていたけれど、確かに髪の毛の長さやスタイルで気持ちにけじめがつきやすい。
  服や髪が与える心理的なものは大きい。色もそうである。
 まっ赤な服を選ぶ日はまるでカルメン。ハバネラを歌いながら玄関を出るときはもうすっかり心が昂揚してくる。

♪恋は気まぐれ野の小鳥
 誰も手なづけることなど出来ぬ。
  イヤと言ったら
   何度呼んでも行くものか。

 脅しも宥めすかしも無駄。
 あなたが私を嫌いなら、
  私があなたを好きになる。

 私に好かれたら、気をつけなさい。
 掴んだと思えば逃げている。
  逃げたと思えば手の中にいる!
   あなたの周りをすばしこく…
    私が惚れたら気をつけなさい。


 (バルセロナのタブラオで撮影)
 松村由利子の次の短歌を朗誦するとき私は一瞬踊り子になる。

 スカートを捌(さば)く踵を打ち鳴らす挑発という花咲かすため

 ぬっくりと吾は立つなりスーツ脱ぎ襞たっぷりのファルダを穿けば
(歌集『鳥女』松村由利子本阿弥書店)から)

 スカート一枚で女は妖艶なカルメンにもなれば、清純な少女にもなる。
 服は身を包むだけでなく心模様も包む綾なもの。
 次の歌を口づさみながら前こごみになった肩甲骨をきりりとひきしめよう。

指先まで力を込めよ負荷をかけ負荷をかけ人は美しくなる
(歌集『鳥女』松村由利子本阿弥書店)から)

 しゃきっといい女になれた日曜の午後。