明るい日差しが春らしい。
日差しの強さ、やわらかさは季節を感じさせるバロメーター。
どんより重い冬の日差しから風は冷たいのに日差しの明るさに一足早く春を感じるのはそんなとき。
秋は残暑が残るときもあるのに日がくれるのが早くなんともさみしく、めぐり来る季節の足音に耳をすますのである。
春爛漫。
庭には紫のムスカリ、黄水仙、パンジー、れんぎょう、ベツレヘムの妖精、桜、枝垂桜、雪柳が咲き乱れて美しい。
今年になってはじめて庭で朝食をとった。
掘りたての筍が食卓に。
甘くて栗のようなおいしさ。
海でこれまた採ったばかりの新わかめの味噌汁。
菜の花のからし醤油あえ。
春キャベツとにんじんの蒸し物は野菜の甘さが口中に広がって一同「甘〜〜い!」と驚嘆。
朝摘みの苺。
春野菜を取ると元気がみなぎるという。
野菜の中の細胞が活発に生育しようとしているせいだろうか。
旬のものはやはりおいしい!
春は目で楽しみ味で楽しみ、体全体で春の陽光を愛でるのがよい。
ロバート・ブラウニングの詩がふと口をつく。
上田敏の名訳によって時代を超えて広く親しまれた詩『ピパの唄』がそれだ。
The year's at the spring
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearled;
The lark's on the wing;
The snai's on the thorn;
God's in his heaven
All's right with the world!
(by Robert Browning)
『ピパの唄』
時は春
日は朝(あした)
朝は七時
片岡に露みちて
あげひばり なのりいで
蝸牛枝に這い
神 天にしろしめす
全てこの世はこともなし
(上田敏訳)