飛翔

日々の随想です

天からの声


フルートの音色を天使の声だと言った人がいる。
確かにあの妙(たえ)なる音色は天から舞い降りてくる感じがする。
今朝もモーツアルトの「フルート協奏曲」で目覚めた。
フルートを吹くのはジェームズ・ゴールウェイ。
フルート奏者の中でもジェームズ・ゴールウェイやニコレが好きだ。
バッハのフルート・ソナタ集も良い。カール・リヒターチェンバロオーレル・ニコレのフルートなどは震えが来る。
武満徹が作曲した弦楽のためのレクイエム「エア」でのニコレも良い。

天からの声といえば、英国のカンタベリー大聖堂で聞いた夕べのミサでそれを体験した。
無宗教の私だけれど、カンタベリーにいた頃は学校が引けて夕べのミサが始まるころ、毎回カンタベリー大聖堂に通ったものだ。
チョーサーの『カンタベリー物語』に出てくるカンタベリー大聖堂には今も英国をはじめとして各国からいまだに巡礼が訪れる。
厳かな大聖堂のミサで歌われる賛美歌を聴いているうち、いつしか何者かが天から降りてくるような気がしてきて思わず身震いするような感動が体中に走った。
それ以後何者かの手に導かれるように毎夕このミサに訪れるようになった。
あれは天からの声のように思う。
賛美歌と大聖堂。
不思議な相乗効果とでも言おうか荘厳な大聖堂には確かに大きなものが存在するのを感じる。