風の島へようこそ (福音館の科学シリーズ) | |
アラン・ドラモンド | |
福音館書店 |
「それではいくらつかってもなくならない自前のエネルギーを持とう」と言い出した人がいる。
それが絵本の主人公、ソーレ・ハーマンセン氏の提案から始まったのである。
この絵本の舞台であるデンマークのサムス(サムソ)島は、首都コペンハーゲンから西に100キロほどのところにある人口約4000人、面積は沖縄本島の10分の1という小さな島だ。
たえず海風がふく、この島で自分たちがつかうエネルギーを自分たちで作り出す計画がはじまった。
石油や石炭や原子力にたよらず、くりかえしつかえる自然のエネルギーをいかしてくらす。
そんな夢の実現を島民全員でなしとげた実話にもとづく風の島の物語だ。
自分たちの力で、自分のできる方法で自然のエネルギー(風力や、太陽、麦わらを燃やす、菜種油)を利用して、電気を生み出し、エネルギーをつくりだすことに成功した島民の物語が楽しく読みすすむことができる。エネルギーを生み出すばかりでなく、それを分け合ったり、節約する事も大切なことである。
地球上、風の強いところもあれば、太陽が豊かなところもある、暑さが厳しいところや、寒いところもある。それぞれの国、地域で、どんな自然エネルギーを利用するのが一番良いのか、未来のためにみんなで考えていかなければならない問題だとこの絵本を読みあらためて考えさせられた。
この絵本から、大人も、子供も、一家で、クラスで、学校で、友達と地域の仲間と、お隣さんと、話し合う機会を作りたいものだ。
原発再稼働を言い、老朽化した原発を延長使用するという岸田さんに、まずはとっぷりと読んでいただきたい。
原爆を落とされた広島選出の総理大臣が、原発を再稼働し、軍事費を増大させる暴挙にイエローカードを出す一冊になればよい
(アラン・ドラモンド作 まつむらゆりこ訳)福音館書店